1 自動車公害の防止対策


(1) 排出ガス対策

  自動車排出ガス対策の重要な柱となっている発生源規制としては,41年9月からガソリン車の新車に対し一酸化炭素の濃度規制を世界に先がけて開始して以来,年々規制の強化を図ってきており,50年4月からは自動車排出ガス規制として画期的ないわゆる「50年度規制」が実施されている。
  これは,49年1月の道路運送車両の保安基準の改正により,乗用車の新車について48年度規制値に比し,酸化炭素89%,炭化水素91%及び窒素酸化物45%の低減を図り,また,軽量バス,トラックについても一酸化炭素29%,炭化水素28%及び窒素酸化物17%の低減を図るものである。
  また,49年12月の中央公害対策審議会の中間答申「昭和51年度自動車排出ガス規制について」を受け,50年2月,道路運送車両の保安基準を改正し,乗用車の新車に関し,窒素酸化物を50年度規制よりさらに低減させるいわゆる「51年度規制」を51年4月1日以降型式指定等を受ける自動車又は52年3月1日(輸入車については,53年3月1日)以降生産される自動車に適用することとしている。
  この他,49年9月からジーゼル車の新車の窒素酸化物,炭化水素,一酸化炭素の濃度規制を開始し,また,使用過程車に対し,従来から行っている一酸化炭素の濃度規制に加えて,50年1月から炭化水素の濃度検査を行っている等,排出ガス対策を実施している。
  一方,自動車交通量をおおむね10%削減することを目標として,東京等10大都市を対象に,駐車規制,バス専用レーンの拡大等の総合交通規制を計画的に実施することとしているほか,自動車排出ガスに関する主要な問題について協議するため,50年1月の閣議決定で「自動車排出ガス対策閣僚協議会」が設置された。
  以上のように,自動車排出ガスに関する規制を強力に推進する一方,48年度を初年度とする5カ年計画により官民合同による都市用低公害バスの研究開発を進めている。

(2) 騒音対策

  自動車の騒音については,45年12月に道路運送車両の保安基準の改正を行い,従来の定常走行時の騒音基準に加えて,新たに加速騒音についての規制基準を設けるなど規制の強化を図ってきたが,更に50年9月に道路運送車両の保安基準を改正し,大型自動車及び二輪車に重点をおく規制の強化を51年1月から実施することとしている。なお,運輸省交通安全公害研究所において,騒音源の発生防止に関する研究等を行っており,その研究成果に基づき規制の強化を図ることとしているが,発生源対策に加え,都市内においては上述の都市総合交通規制の実施を推進している。


表紙へ戻る 次へ進む