3 航空機騒音の防止対策


  飛行場周辺の生活環境の保全を図るため,航空機騒音対策の総合的な目標となる「航空機騒音に係る環境基準」が,中央公審対策審議会の答申を得て48年12月に設定された。その基準値は,専ら住居の用に供される地域にあっては,WECPNL(加重等価平均騒音レベル)70以下,また,それ以外の地域で,通常の生活を保全する必要がある地域はWECPNL75以下となっており,現在,この基準値を目標値として発生源対策空港周辺対策等を推進している。
  騒音対策の重要な柱の一つである発生源対策としては,50年6月に成立した航空法の一部を改正する法律によむ「騒音基準適合証明制度」を創設し,航空機の騒音を一定基準以下に規制することとしたが,わが国の航空会社においても低騒音大型航空機の導入が積極的に行われており,すでにB-747SR機,ロッキードL-1011機が大阪便を除く主要国内幹線で使用されている。
  また,大阪空港等における深夜便離着陸の全面禁止等の時間規制が実施されているほか,運航方式の改良として,住居がないか又は少ない方向への離着陸又は飛行を行わせる等,騒音軽減運航方式が一部採用されている。
  空港周辺対策としては,運輸大臣が設置する公共用飛行場のうち,航空機騒音による障害が著しいと認められる飛行場を特定飛行場に指定し,学校,病院等の公共施設の防音工事に対する助成等各種の補償対策を進めているが,50年6月,新たに4飛行場が特定飛行場に指定され,現在,特定飛行場は13となり,わが国のジェット就航空港は大部分が特定飛行場となった。さらに,特定飛行場のうち空港周辺が市街化していたり,今後市街化が予想されるため計画的な整備をする必要があると認められる空港を周辺整備空港に指定し,都道府累知事が策定した空港周辺整備計画に基づき,国と地方公共団体が共同で設立する「空港周辺整備機構」が主体となって,空港周辺の再開発,代替地造成等の事業を実施することとしており,現在,大阪国際空港が指定され,49年4月にその周辺整備機構が設立された。
  一方,航空機騒音に係る環境基準を達成するために騒音対策費は今後急速に増大せざるを得ない状況にあり,相当程度の財源を確保する必要がある。
  このことから,騒音対策費の一部に充てるため航空審議会の答申に基づき,汚染者負担の原則(PPP)を適用した特別着陸料制度を50年9月創設し,騒音障害の主たる原因になっているジェット機について,その航空会社から特別着陸料を着陸一回毎に徴収している。さらに,本制度の創設に伴う航空会社の負担増に対処するための適切な措置を講ずる必要があることから,当面国内線ジェット旅客機運賃にジェット特別料金が50年9月より加算されることとなった。


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