4 東欧圏諸国海運の既存海運市場への進出
最近,世界的に東欧圏諸国海運が既存海運市場へ進出し,その発展には著しいものがある。これら東欧諸国海運の多くは,自国の外貨獲得政策にのっとり,海運市場への進出を図っていると考えられる。
しかし,これら諸国の海運は,貿易取引自体が国家によって一元的に行われている立場から,取引契約の段階において輸出はCIF,輸入はFOBとする契約を結ぶことにより,当該物資の輸送の船積指定権を掌握したり,定期船サービスの場合は,海外に自国が支配権を有する合弁代理店を設立して,集荷活動を行いながら,自国内にある相手国の代理店の活動には大きな制限を加える等の措置をとったり,自国船が外国貿易に使用する港に外国の貿易船の出入を認めない措置をとり,あるいはまた,船舶の建造費等の資本コストを国家が負担することにより,低額な運賃で盟外活動を行ったりするなど,これまでの商業海運の経済原則に基づく海運秩序に大きな影響を与えており,各国ともその対策に苦慮している。
|