6 スエズ運河の再開


  スエズ運河は50年6月5日ちょうど8年ぶりに再開された。これにより,ヨーロッパと中東,西アジア間をはじめ,世界の貿易路は再び大幅に短縮されることとなった。
  同運河は当面,閉鎖前とほぼ同様満載状態では6〜7万重量トン,空船では15万重量トン以下の船舶しか通れないので,ここ数年間に著しく大型化したタンカーの利用は多くを望めず,数年後に予定されている運河拡張工事の完成が待たれるところであるが,タンカー以外の船舶については,現状でもほとんどが十分通航可能であり,次第に通航量が増加しつつあると伝えられており,我が国船舶の同運河利用も,小型の不定期船や在来定期船を中心に次第に増加しつつある。
  スエズ運河の再開により,貿易面ではヨーロッパの商品の中東,西アジア等での競争力が強まり,またインド及び東南アジアからヨーロッパ向けの鉄鉱石,木材等の輸出が伸びる反面日本商品のこれら串東,西アジア地域における競争力がいく分弱まるといった影響が予想されており,また,海運面では,同運河経由による航海日数短縮のため,全体的に船舶の回転率が高まり,船腹量を過剰にする効果があるといわれている。


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