2 内航船舶の現状
49年度末現在の内航船船腹量は,先に述べた輸送需要の減少にもかかわらず, 〔II−(I)−16表〕に示すように,389万総トン(前年同期比4.4%増)と大幅に増加することとなった。なかでも油送船,特殊タンク船,セメント専用船,石灰石専用船など物資別適合輸送のための専用船の整備は着実に進展しており,また,雑貨輸送を担うコンテナ船やロールオン・ロールオフ船の増加も著しくこれら専用船の占める割合は,全内航鋼船船腹量の53%に達した。
他方,木船の船腹量は大きく減少した。これは老朽化した不経済船では,競争力がますます失われていくことから,老朽化した木船を鋼船化していったことによるものである。
内航船の建造については,毎年度海運造船合理化審議会の意見を聞いて,運輸大臣が告示している適正船腹量を指針として,日本内航海運組合総連合会が自主的な船腹調整を実施してきている。49年度においては老朽鋼船の近代化,木船の鋼船化,47年の不況期に2年後に建造を認めることとして解撤した船(船舶整備公団で融資を受けたもの)の代替建造等の希望が強く,建造申請は非常に多数にのぼったが,経済情勢を考慮して純増につながる建造については極力抑制する方針がとられた。
また,中小船主の船舶の建造を共有船という独特な方式で援助する船舶整備公団の建造公募については,一般金融が引締め中で公団への希望が殺到し,さらにその間船価の高騰もあったため,応募の倍率は船価ベースで過去最高の約6倍にも達した。内航船舶の近代化については,大宗貨物である鉄鋼,石油製品等の主要産業基礎物資の輸送を中心に専用船化の方向で着実に進展しているが,今後とも一層近代化及び合理化を進めていかなければならない。
一方,国内貨物輸送の分野においても,運輸における労働力,エネルギー,環境問題等の制約条件の増大を考慮すれば,これらの面で効率的な海上輸送を可能とするための対策を研究することが急がれている。
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