2 船員の質的向上の確保
海上における船舶の運航の安全は最終的には,船員の運航技術によるところが大きい。そのため船員教育の充実がさけばれており,近時その重要性はますます大きくなってきている。特に近年における船舶の大型化,技術革新は,めざましいものがあり,この傾向はわが国海運の国際競争力の確保の面からも今後とも進展するものと考えられる。
このためこれらの情勢に対応した船員教育のあり方を検討するとともに,船員教育機関の充実,海技資格制度の改善,民間の船員教育機関に対する指導と援助の強化等をはかっている。さらに安全な運航を確保するために,船員法による操練の強化,船舶職員法による船舶職員の乗り組みの厳正な運用をはかっている。
なお,国際海運の航行の安全上の見地からIMCO海上安全委員会の下部委員会として訓練当直基準小委員会が設けられており,ここで国際的な当直の基準,船員の資格訓練等について勧告案や条約草案を作成してきている。この会議の成果は,1978年の船員の訓練及び資格に関する条約会議で審議される予定であり,将来のわが国の海技免状その他の資格制度,海員の訓練,再教育体系に重要な影響を及ぼすことは必至であるので,国際海運をリードするわが国としては,海上航行の安全上の見地からこれに積極的に取り組んでいる。
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