4 カーフェリーの航行安全対策
モータリゼーションの発展に伴い,カーフェリーは,大型化,長距離化しつつ増加してきており,このため要救助海難の発生隻数も増加の一途をたどってきたが,49年の要救助海難の発生隻数は,12隻と前年に比べて7隻の減少となった。
カーフェリーは,多数の旅客・乗組員とともに燃えやすい自動車を同時に大量に積載しているため,いったん事故が発生すると大惨事となるおそれがある。50年3月瀬戸内海において,車両甲板の大型トラックから火災が発生し,旅客及び乗組員全員は無事避難したが,積載車両は次々と焼損したカーフェリーひろしまの事故は,カーフェリー海難の特徴を示すとともに,カーフェリーの安全対策をより一層きめ細かく推進する必要性を示している。
海上保安庁は,機会あるごとに安全運航指導,緊急時の避難救助訓練,関係法令の励行等に努めており,49年には夏・秋の2回行った全国海難防止強調運動期間中に1,976隻のカーフェリー等旅客船を訪船し,安全運航に関する指導を行ったほか,62回の事故対策訓練を実施し,旅客等の救助避難対策の向上に努めた。
また,カーフェリーの事故発生に際しては,運航管理体制等事故の背景にある問題点も含めて詳細に事故原因の解明を行い,濃霧期における一般内航船舶との間の通航分離,立入禁止場所への立入りの防止,運航中止基準の厳守,見張りの強化等について関係者に勧告し,安全指導を強力に推進している。
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