2 海上防災体制の整備


  昭和49年末,相次いで発生した東京湾における第10雄洋丸とパシフィック・アレス号との衝突・火災事故,三菱石油水島製油所の流出油事故にみられるように,我が国の周辺海域においては,大規模な災害が発生する危険性が内在している。
  海上保安庁は,49年度末現在,危険物積載船等の火災事故に対処するため,大型消防船3隻を含む161隻の化学消防能力を有する巡視船艇を主要湾港に配備しており,49年度は,老朽巡視船艇の代替及び巡視船艇に対する化学消防能力の付与を行い消防能力の増強を図っている。
  このほか,海上保安庁は,あらかじめ消防機関との間に船舶火災に関し,業務協定を締結し,相互の協力関係によって消火活動を迅速かつ的確に実施する体制の整備を推進している。
  他方,船舶火災,海洋汚染等海上災害の防止を目的として,49年12月に財団法人海上防災センターが設立され,同センターは,2隻の大型化学消防船を運用することにより,東京湾における船舶火災等の災害防止に備えるほか,海上油濁防除用資器材の備蓄,船舶乗組員等に対する船舶火災消防及び流出油防除訓練等を実施することとなっているが,これらの事業を効率的に運営するため積極的に育成を図る必要がある。
  このほか,海上における大量の流出油事故に対処するため,第6章第2節に述べる流出油防除対策を講じており,広域的な海上防災体制の整備,海上防災活動の円滑な実施に関し,法的措置の必要性を含めて全般的な検討を行っている。


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