1 監視・取締り体制の強化


  海上保安庁は,多発する海洋汚染に対処するため従来から巡視船艇,航空機,組織,要員,資器材の整備を推進して,監視・取締り体制の強化を図ってきた。
  49年度には,前年度に引き続き巡視船艇,航空機の整備増強,油排出夜間監視装置の装備等を行うとともに,福岡航空基地を設置し,第三(横浜),第四(名古屋),第五(神戸),第六(広島)及び第七(北九州)管区海上保安本部の海上公害監視センターを海上公害課に改組増強したほか,主要な海上保安(監)部署8カ所に海上公害係を設置した。さらに50年度には,那覇航空基地を新設し第一(小樽),第二(塩釜)及び第十(鹿児島)管区海上保安本部に海上公害係を設置するとともに,全管区海上保安本部にガスクロマトグラフ等,分析測定用器材の整備を行うことにより,広域的な監視・取締り体制の充実強化を図っている。
  海上保安庁は,これら巡視船艇,航空機,資器材を活用して,船舶からの油等の排出,臨海工場からの廃液による海洋汚染の監視及び海上公害関係法令違反の取締りに努めた結果,49年には1,860件48年より42件多い法令違反を検察庁へ送致した。
  一方,廃油ボールの漂流漂着状況調査について,ユネスコの一機関であるIOC(政府間海洋学委員会)が,50年1月から2年間,IGOSS(全世界海洋観測システム)の一環として国際的に統一された観測手法によわ調査を行うことを各国に勧告し,我が国もこれに参加することになり,海上保安庁は,これまでの調査をさらに発展させて実施している。


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