1 航空機騒音防止法等に基づく対策
空港周辺における航空機騒音等による障害の防止,軽減を図るため「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」(「航空機騒音防止法」)に基づき,42年度から次のような諸対策を実施してきている。
(1) 特定飛行場における対策
航空機騒音防止法に基づく対策が実施される特定飛行場として,48年度末までに新東京国際,東京国際,大阪国際,福岡,鹿児島の5空港につき指定していたが,49年6月に函館,仙台,松山及び宮崎の4空港を,また,50年6月には,新たに新潟,大分,熊本及び那覇の4空港を指定した。この結果,ジェット機が就航している公共用飛行場の大部分は特定飛行場の指定を受け,次のような各種の騒音対策事業が実施されることとなった。
@ 学校,病院等公共施設の防音工事助成及び共同利用施設整備として,49年度には公民館を整備助成対象に加え,140施設に対し62億円の補助を行い,さらに50年度からは老人福祉センターの防音工事補助等を開始するなど助成制度の充実を図っている。
A 49年3月の航空機騒音防止法の改正により,防音工事助成を一般民家にまで拡大した。49年度の民家防音工事補助は,初年度であったこともあり,大阪国際空港周辺の457戸について9億円の補助をしたにとどまったが,50年度には同空港ほか7空港の周辺地域の計3,901戸について65億円の補助をすることとしている。また50年度からは補助対象を広げ老人,幼児のいる家庭については2室まで認めることとし,補助率も75%から90%に引上げることとなった。
B 移転補償についても,前記法改正により,騒音の実態に合わせて行うこととなり,49年度には105件(44億円)の事業を実施したが,さらに50年度には346件(77億円)の事業を進めている。
移転補償及び民家防音工事は,抜本的な周辺対策であり,環境基準を達成するためには,51年度以後も事業量が増大することが予想され,これらの事業量増に対応するため,手続面での簡素化,合理化等が要請されている。
(2) 周辺整備空港における対策
49年の法改正により,特定飛行場のうち周辺地域の市街化が進み,又は進むことが予想されるため,計画的な整備を促進する必要があると認められる空港については,周辺整備空港に指定し関係都道府県知事が策定する空港周辺整備計画に基づき緑地帯の造成,再開発等を実施することとした。
周辺整備空港としては,49年3月に大阪国際空港が指定されており,国と大阪府・兵庫県の共同出資で設立された大阪国際空港周辺整備機構が実施主体となって,固有事業として再開発事業,代替地造成事業及び共同住宅建設促進事業を実施しているほか,受託事業として移転補償,その他の事業として民家防音工事助成をそれぞれ実施している。大阪国際空港周辺整備機構の認可予算は 〔III−18表〕に示す通りであり,50年度予算は前年度比33.6%増の237億円となっている。
(3) その他の対策
航空機騒音防止法に基づく対策のほか,49年度に引き続き財団法人公害防止協会に補助を行い,テレビ受信障害対策を進めているが,50年度から補助対象地域の拡大と受信料の補助率の引き上げが実施された。
以上述べたとおり,航空機騒音対策は年々拡充きれ,その予算も平均伸び率72%と例をみない大幅な伸びを示し,50年度には234億円に達している 〔III−19図〕。
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