2 地域間貨物輸送の推移


  地域間貨物輸送量(全国10ブロック,ただし39年度は沖縄を除く9ブロックの相互間の貨物流動量。以下同じ)は,39年度から49年度までの10年間に2億7,300万トンから5億9,100万トンへと2.2倍に増加しているが,自動車と内航海運の伸びが著しい。品目別には石炭から石油へのエネルギー構造の変化により,また,一次産品の海外依存度の増大から,鉱産品の伸びが鈍化している反面,我が国経済の高度成長を背景として金属機械工業品,化学工業品などの二次産品が大幅な増加を示している 〔1−3−21図〕

  このような,品目構成の変化とその背景となる産業構造の変化は輸送機関の動向に大きな影響を与えた。
  まず,内航海運は石油,鉄鋼,セメント等の基幹産業物資を大宗貨物として,ここ10年間著しく輸送量が増大した。
  これは,石炭から石油へのエネルギー構造の転換,臨海部における重化学工業の発展等に対応して,物資別適合輸送のための専用船化,適正船型の開発等が行われるとともに,港湾施設についても専用岸壁の整備,荷役の機械化等が図られ輸送の合理化,効率化が進められたことによるものである。なお,内航海運における主な専用船化の状況は 〔1−3−22図〕のとおりとなっている。

  自動車は,第2部第3章で詳述するように,自動車の特徴を生かし,機械,軽・雑工業品等の比較的運賃負担力が大きくロットの小さい二次産品の需要増を吸収して,その輸送量が増大した。
  鉄道は,石炭から石油へのエネルギー転換資源の海外依存度の増大,臨海工業地帯の整備等により,産業の基礎資材輸送が内陸主体から沿岸部主体へ移行したため,大宗貨物であった石炭,木材等の一次産品が減少し,我が国の産業構造の変化による二次産品の輸送需要の増大に対し,輸送体制の近代化の立ち遅れ,設備改善の整合性の欠如,輸送波動に対する貨物設備の弾力性の喪失,運賃制度の硬直性等により,これに十分対応し得なかったため輸送量は減少傾向にある。また,これに加えて相次ぐ争議行為が輸送の安定かつ効率的な提供を妨げ,荷主への信頼感の喪失を招き,輸送量減少に一層の拍車をかけている。
  次に,地域間貨物輸送量をみると 〔1−3−23表〕のとおりで,39年度から49年度の10年間に,東海道3地域(関東7都県,東海4県,近畿6府県)以外の地域相互間の輸送量は,産業の麺方分散化により,2.5倍に伸びている。しかし,49年度において,東海道3地域にかかる輸送量の全地域間輸送量に占めるウエイトは77.3%となっている。また,このうち3地域と隣接する地域との輸送量及び関東と近畿相互の輸送量が大半を占めている。

  前記輸送量を輸送機関別にみると,39年度から49年度までの10年間に自動車と内航海運が大幅な伸びを示しており,自動車が4.4倍,内航海運が2.2倍となっているのに対し,鉄道は0.84倍と減少し,その結果3輸送機関合計で2.1倍の伸びを示した。また輸送量は,39年度においては内航海運,鉄道,自動車の順で鉄道が自動車を上回っていたが,49年度には,内航海運,自動車,鉄道の順となっており,自動車が鉄道を上回るに至った。
  上記東海道3地域を中心とする輸送量の推移を輸送機関別にみると,自動車は隣接地域及び関東と近畿間等で大幅な伸びを示したのに対し,内航海運は,関東を中心とした北陸・甲信を除く各地域間及び近畿と中国,四国,九州地域との輸送量の増加が特に目立っている。鉄道は,自動車と内航海運の伸びた上記区間における輸送量の減少が目立つが,東海道3地域と北海道,九州などとの間の長距離発着の貨物については,若干増加している 〔1−3−24図〕


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