1 運輸関係公共投資の現状
50年度の運輸関係公共事業費(鉄道,道路,港湾,空港及び海岸)は,4兆5,693億円(海岸にあっては他省所管分を除く。)で,前年度比1.8%の増であった。
これを実質値でみると,前年度比0.2%増とほぼ横ばいであった。
運輸関係公共事業費は,当初予算の段階では総需要抑制の基本的態度が引き継がれたが,50年9月に決定された公共事業の追加計上を主とする第4次景気対策が寄与し,48,49年度の大幅な落ち込みから若干の増加に転じた。なお,景気対策による追加事業費は,鉄道600億円,道路1,790億円,港湾133億円,空港29億円,海岸28億円であった。
50年度の公共事業費の内訳をみると, 〔2−6−10表〕のとおり,鉄道が1兆2,327億円(前年度比11.1%増),港湾3,607億円(同1.4%増),空港984億円(同23.9%増),海岸298億円(同14.2%増),道路2兆8,477億円(同2.4%減)で,前年度に比べ鉄道,港湾,空港及び海岸は増加したが,道路は減少した 〔2−6−11図〕。
これを,部門別にみると,鉄道のうち,国鉄は7,067億円(前年度比3.2%増)で,新幹線工事が大幅な減となっているが,大都市圏輸送網の整備及び複線化,電化等の幹線輸送力増強工事,安全・公害及び合理化対策工事が増加しており,新幹線騒音防止対策等の推進により,特に安全・公害及び合理化対策事業費の伸びが著しい。
また,日本鉄道建設公団は2,615億円(前年度比12.8%増。うち国鉄分2,363億円,民鉄分252億円)であり,地下鉄は2,637億円(同39.2%増)であった。港湾は,埠頭,航路等の港湾整備事業費が3,184億円(前年度比0.8%増)で横ばい,上屋,荷役機械整備等の港湾機能施設整備事業費は微増であった。また外貿埠頭公団は190億円で前年度と同額であった。空港は,騒音対策事業(390億円,前年度比66.0%増)の増加により,大幅な増となった。道路は地方単独事業の大幅な落ち込みにより前年度に比べ減となった。
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