1 交通事故の現状


(1) 交通形態別交通事故の発生状況

  交通形態別にみた最近数年間の交通事故の推移は 〔2−7−1表〕のとおり減少の傾向こあり,昭和50年の事故発生件数及び死傷者数は各交通形態とも全て前年を下回っている。

(2) 交通事故形態の特徴

  このように,交通事故の発生状況は全体としては,年々減少傾向を示しているものの,事故死傷者数は道路交通を中心に依然として高い水準にある。
  これに対処し,交通事故発生件数の減少傾向を定着させ,死傷者数の減少を図るためには,交通事故の発生形態を的確に把握し効果的な安全対策を推進する必要がある。

 @ 事故の大型化傾向

      各交通形態別に発生事故1件当りの死者数の推移をみると 〔2−7−2図〕のとおり,道路交通事故は横ばい,鉄軌道交通事故はやや増加傾向を示している。海難については毎年増減が激しいが,概ね横ばいとなっている。航空交通事故は件数が少く,重大事故の影響が大きく出て傾向把握は困難であるが,ここ3〜4年間は重大事故の発生もなく減少傾向を示している。

      しかしながら,新幹線等列車の高速化,高密度化,B-747,L-1011等大型航空機種の出現,VLCC,ULCC等大型タンカーの出現等交通機関の年々の高速化・大型化等により,万一事故が発生した場合にはいずれも相当大規模な被害が予想される現状である。

 A 事故発生の地域的特性

      事故の発生比率は,一般的に交通が混雑している地域あるいは各種交通が複雑に混合している地域が高いといえる。道路交通事故については市街地と非市街地における事故発生比率をみると市街地の比率は65%前後で推移している。また,鉄軌道交通事故についても,道路交通との接点である踏切事故の比率が高く,最近数年間は全体の過半数を占めている(50年51.2%)。一方,日本の三大ふくそう海域と言われている東京湾,伊勢湾,大阪湾を含む瀬戸内海の海難発生比率は 〔2−7−3表〕に示すとおり,30〜40%を占めかなり高いことがわかる。

      なお,上記三大ふくそう海域における1,000総トン以上の船舶の海難についてみると,外国船舶が全要救助船舶の60%と,高い比率を占めている。

 B 道路交通事故の特性

      陸,海,空全交通形態の事故死傷者数のうち,その大半を占める道路交通事故(死者数比率では50年88.5%)は,45年がピークであったが, 〔2−7−1表〕に示すとおり年々著しい減少傾向を示している。自動車1万台当りの死者数の推移を諸外国と比較すると 〔2−7−4図〕に示すとおり,我が国のそれは先進諸国並になったといえる。

      一方,道路交通事故死傷者数の内容をみると,いわゆる交通の場で弱い立場にある者の比率が相当高いことがわかる。
      すなわち,まず歩行者・自転車利用者の全死傷者数に占める比率をみると 〔2−7−5表〕に示すとおり,50年のそれは約31%で,しかも最近徐々にではあるが増加の傾向を示している。さらに,歩行者の死傷者数の中でも子供と老人の比率は高く 〔2−7−6表〕に示すとおり50年のそれは63%に達しており,やはり年々増加する傾向にある。


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