2 環境保全対策の方向


  今まで述べてきたような交通公害等に対しこれを解決し環境の改善を図るためには,これまで実施されてきた各種防除事業等の環境保全対策(最近2か年の公害防止対策予算については 〔2−7−15表〕参照)を更に進めることのほか,交通公害等について次のような事項について十分な検討がなされるとともに適切な措置がとられる必要がある。

  その第一は,自動車排出ガス及び騒音,船舶から排出される油,海洋に投棄される有害物質を含む廃棄物等の環境汚染因子の排出規制の充実である。
  前述のとおり,排出規制に関する関係法令の整備がなされたが,環境基準の早期達成を図り,また住民の生活環境における環境意識の変化に対応していかなければならない。この場合においては,公害の現状の把握,規制強化の対応の実現方法等に十分な考慮を払い合理的な規制の強化を図る必要があるとともに,これら規制の励行及び励行している者の公平の確保のため,取締り体制の確立及び充実を前提とすることはいうまでもない。
  第二にあげられることは,環境影響評価の実施推進である。第6章で述べたとおり,交通施設の整備及び運営にあたって種々の環境問題が生じているが,これは,近年における経済社会の高密度化に伴い施設整備が地域社会に対し直接的かつ広範囲にわたって大きな影響を及ぼすようになったことによるところが大きい。したがって計画,事業の実施にあたっては,地方公共団体の意向を十分把握し,利便性の推進,地域開発の効果等の分野にわたって総合的な判断に基づき計画,事業を実施していく必要があるが,環境に与える影響の大きい事業についてあらかじめその地域に与える環境面における影響を予測・把握し,それに対する環境保全対策を含めた環境影響評価の充実強化を図っていかねばならず,このため影響評価手法の開発,実施主体の充実等体制の整備に努める必要がある。
  第三にあげられることは,土地利用計画との調整及び活用である。交通施設の整備,運営に伴う公害問題はつとめて当該事業の立地場所,周辺地域の条件の適・不適に大きくかかわるものである。このため,これら交通施設整備に当っては,都市計画,土地利用基本計画等の土地利用計画を十分考慮してその計画を定める必要がある。また,交通施設整備が既になされている場合には,土地利用計画の策定にあたりこれらの施設の周辺の利用の適正化が図られるよう十分考慮する必要がある。
  第四は,公害に関する費用の負担の適正化があげられる。前述のとおり,交通公害は広汎多岐にわたっており,その影響も広範囲に及ぶところからその防止対策の実施には多額の費用が必要となる。これらの費用は汚染防止費用,環境復元費用及び被害救済費用とに分けられるとされているが,これらについては,環境悪化の原因となった汚染因子を排出した者(汚染者)が負担するということを原則としつつ,汚染者が企業努力を尽すことを前提とした上で運賃・料金への組入れ等を通じ,利用者転稼,いわゆる間接汚染者負担によりその確保を図っていく必要がある。
  第五は,公害防止技術の開発である。これまでにも各種公害防止機器の開発,都市用低公害車や浮上方式による低公害鉄道の研究開発,環境影響評価手法の開発が行われてきたが,公害防止技術の開発は公害問題の根本的解決方法の一つであり,今後とも汚染の発生機構の解明を踏まえ,これら技術開発を更に進めて行くとともに,個々の技術開発を体系的に進めていく必要がある。
  我が国の経済発展,国民生活の向上にあわせ今後とも交通体系を整えていくことにあたって,上記の方向を踏まえ,環境の保全という課題に十分配慮を払いその推進に努める必要がある。


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