2 自動車ターミナル事業


(1) 事業の概要

  自動車ターミナル事業者の経営内容をみると,バスターミナルにおいては,営業収入中ターミナル収入の占める割合は約10%で,付帯事業収入の占める割合が約90%にも達しているのに対し,トラックターミナルにおいては,ターミナル収入の占める割合は約61%で,付帯事業収入の占める割合が約39%となっている。これは,バスターミナル事業においては,乗降客等一般大衆を対象とした食堂,売店等収益性の高い付帯事業を行い得るのに対して,トラックターミナル事業においては,その性格上付帯事業の内容が自動車整備施設,給油施設,運転手等を対象とした厚生施設の運営等に限られるからである。
  次に支出についてみると,バスターミナル,トラックターミナルとも支払利息及び償却費の占める割合が高く,先行投資に多額の資金を要することを示している。

(2) 自動車ターミナル事業に対する助成

  自動車ターミナルは,その性質上地価の高い都市内又はその周辺に立地するものが多く,また,土地の取得についてはもとより,その建設にも多額の資金が必要であるが,他面,自動車ターミナル事業は概して採算性に乏しく,資金調達能力にも限界がある自動車ターミナルの整備の必要性は今後ますます高まることが予想されるが,自動車ターミナル事業のこうした特殊性にかんがみ,その整備に対するさらに積極的な公的助成が望まれている。
  国においては,現在次のような助成措置を講じている。

 ア 日本自動車ターミナル株式会社への政府出資

      日本自動車ターミナル株式会社(以下「日タ」という。)は,大都市及びその周辺においてトラックターミナル事業を行うことを目的として昭和40年に資本金3億300万円で設立された特殊会社である。同社が行うトラックターミナルの整備については,用地費及び建設費の1/3を資本金でまかない,国は東京都及び民間企業と均等に資本金の1/3を出資することを原則としている。
      資本金は,50年度末において111億円(国35億5千万円,東京都34億5千万円,民間41億円)であり,これと日本開発銀行等の融資により京浜トラックターミナル433バース及び板橋トラックターミナル320バースを建設し,すでに供用しているが,近く,足立トラックターミナル320バースを供用する予定である,50年度においては,葛西トラックターミナル(約460バース)の用地を取得し,用地費の一部の支払に必要な資金として,政府は4億5,000万円を出資した。51年度においては,50年度に引続き用地取得を推進するため,政府出資4億5,000万円が予算に計上されている。

 イ 高速道路ターミナル株式会社への日夕出資

      高速道路ターミナル株式会社は,日本道路公団が高速道路のインターチェンジ附近において,高速道路関連施設用地として取得,造成した土地を賃借して,トラックターミナル等の物流施設を整備することを目的として,日本道路公団,関係地方公共団体等の出資により設立される第三セクターである。日タは,これらの施設整備を推進するため,50年度からこれらの会社に対して日本道路公団と対等出資(出資比率1/5)をすることとし,国は当該出資金相当額を日夕に出資することとしている。
      50年度においては,東北高速道路ターミナル株式会社及び九州高速道路ターミナル株式会社が行う郡山及び熊本における施設整備につき,日タに対して,政府は1億円を出資した。51年度においては,東海北陸高速道路ターミナル株式会社(仮称)及び東北高速道路ターミナル株式会社が行う金沢西及び仙台南における施設整備につき,総額1億円が予算に計上されている。

 ウ 地方第三セクターに対する補助

      地方公共団体が出資する第三セクターが地方中核都市及びその周辺の地域においてトラックターミナル等の物流施設を整備する事業に対し,補助対象事業費の1/9を補助するものである。49年度から広島西部臨港地区を対象として1億円の国庫補助がなされた。50年度においてはこれに盛岡地区が加わり,1億2,500万円の国庫補助がなされた。51年度においては50年度にひき続きこれらの地区に対して1億2,100万円が予算に計上されている。

 エ その他

      日本開発銀行等政府関係金融機関による長期の融資が行われているとともに,税制面においても固定資産税の軽減,トラックターミナルの荷役場等の建設に対する割増償却などの優遇措置がとられている。

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