2 海洋法会議の展開


  1973年12月に始った第3次海洋法会議は,その第5会期を1976年8月2日から9月17日までの間,ニュ一ヨークに開催したが,この会期でも条約草案の最終的なとりまとめには至らず,さらに第6会期を1977年5〜7月に開催する運びとなっている。
  今次海洋法会議における海運に関する主要な問題は,領海の幅員,並びに排他的経済水域及び群島水域の設定問題等であるが,特にかかる水域及び国際海峡等における船舶の通航問題(沿岸国の管轄権のあり方)及び船舶による海洋汚染防止問題という2つの重要な問題の討議が進められている。
  これらについては,既に第3会期(1975年3〜5月,ジュネーブ)で議長とりまとめの形で提示された非公式単一交渉草案及び,第4会期(1976年3〜5月,ニューヨーク)の同改訂版等の条項をべースとして討議が進められているが,第5会期では,特に国際海峡における船舶通航制度について,妨げられない通過通航(Unimpeded Transit Passage)をめぐり,沿岸国の規制をより強化すべしとする意見があり,また,船舶起因の海洋汚染問題についても,領海及び経済水域における沿岸国の立法権の範囲及び管轄権の態様等が検討された。


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