3 航海の安全と海洋汚染


(1) マラッカ・シンガポール海峡航行安全対策

  50年に起ったマラッカ・シンガポール海峡における邦船大型タンカーの相つぐ衝突,座礁事故は,安定的な海上輸送の確保を図るうえで,従来にもまして,航行の安全,海洋汚染防止対策の推進が必要であることを再認識させた。
  マラッカ・シンガポール海峡については,我が国は,沿岸三カ国の行う共同水路調査,航行援助施設の整備に積極的な協力を行ってきており,共同水路調査は,50年12月の最終報告書作成により終了した。また,航行援助施設の整備についても必要と考えられる箇所の整備を終った。一方,沿岸三カ国(シンガポール,マレーシア,インドネシア)は,三国外相会議を開催し,それを受けてさらに専門家会議(第1回50年6月〜7月,第2回50年9月,第3回51年6月)を開催して,航行分離方式や,マラッカ・シンガポール海峡を通航する船舶の吃水制限等の航行規制の検討を行っている。

(2) 海洋汚染防止対策

  海洋汚染防止対策については,1969年油濁民事責任条約を油以外の有害物質へ適用拡大する問題,既存船へのSBT(Segregated Ballast Tank)設置の義務付けの問題等のほか,1973年海洋汚染防止条約の油の排出基準の設定等に関し具体的実施を行うための各種規制基準の作成及び必要な設備の開発の作業等がIMCO(政府間海事協議機関)において行われている。

(3) その他

  そのほか航海の安全,海洋汚染防止の立場から不適格船であるとして,船員から通報のあった船舶を入港国が取り締ることとする問題及び船員の訓練当直基準の国際条約化の問題があり,これらについてIMCO等において検討が進められている。また,船舶の登録国が船員の資格・配乗を含む安全基準及び船員労働基準について,有効な管轄権を行使するための国際的合意の形成等についてILO(国際労働機関)の場において検討が行われている。


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