5 その他
(1) 産油国を中心とする湾港混雑
最近,中近東,アフリカ地域の産油国を中心に,資本財・消費財の輸入が急増し,これら諸国の港湾整備が追いつかず,港湾混雑が増大し,長期滞船が続出する事態が生じている。このような港湾混雑は,これら地域向け航路に就航している船舶の運航効率の低下と運航経費の増大をもたらすとともに,これら地域向けの円滑な貨物輸送そのものについても大きな影響を与えている。
現存,これらの諸国は,港湾当局を中心として,港湾整備,既存港湾の効率化等の対策を実施することにより,港湾混雑の緩和のための努力を行っているが,一方,UNCTADにおいても,港湾混雑の原因究明,対策の検討を行うための専門家会議を招集する等の努力が行われている。
(2) 船主責任制限条約の改正
船舶所有者の責任を一定額に制限している1957年の船主責任制限条約は限度額の引上げ,責任制限主体の追加等の改正の検討が現在IMCOにおいて各国で進められており,本改正のための外交会議が本年11月に開催された。
(3) 船荷証券条約の改正
船主の荷主に対する運送責任については,1924年の船荷証券条約等(いわゆるへーグ・ウイスビー・ルール)により律せられているが,船主の責任を厳格化する方向で条約改正のための検討が行われており,すでにUNCITRAL(国連国際商取引法委員会)における草案のとりまとめを終り,早期の外交会議の開催が要請されている。
(4) 複合運送
進展の著しいコンテナ輸送についてもUNCTADの国際複合運送政府間準備グループにおいて,輸送全区間についての責任体系,保険,関税問題等に関する新しい国際条約制定のための検討が行われている。
(5) 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)
従来の運輸通信委員会は,1977年度から海運・運輸通信委員会と改組され同委員会においては,海運問題を独立して検討することになり,その主要課題として海運の育成及び港湾の整備の促進のための地域協力に関する施策の検討があげられている。
(6) 技術協力
発展途上国との関係では,海運,造船工業,船員教育,港湾建設,海上保安等各種の分野で集団研修員及び個別研修員の受入れを行っているほか,インドネシアヘの海運アドバイザリー・チーム及びアンデス・グループ(ペルー)等への専門家の派遣を行っているが,さらにESCAP事務局(海運分野)に対し,海運専門家1名を派遣した。このほか,ESCAPへの港湾専門家の派遣,米州機構(OAS,ボゴタ)及びパラグアイヘの専門家派遣についても検討している。
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