1 海岸事業


  我が国の海岸線総延長は,約30,000kmで,このうち海岸保全施設等により防護を必要とする延長は,約15,000qである。このうち,運輸省は,人口と資産が集中している港湾区域内の海岸を所管しており,その総延長は約7,200km,防護を必要とする延長は約4,200kmである。
  昭和50年度末現在において,この防護を要する港湾区域内の海岸線延長の約64%は,何らかの海岸保全施設があるが,そのうちのかなりの部分が地盤沈下,風浪等のため機能が低下し,老朽化しているため補強改良を必要としている。一方,残りの約36%に相当する部分については,新たに海岸保全施設の整備を必要としている。
  海岸保全施設の整備に際しては,その防災機能に加えて,多様な海岸利用や地域の要請に対して十分な調整を図るとともに,生物,生態系への影響や海岸線の美観等地域環境との調和等をも図る必要がある。
  50年度における海岸事業は,373か所において 〔II−(III)−17表〕に示すとおり事業費約298億円(国費約165億円)をもって実施した。これは前年度に比べ,14.3%の増加である。

  50年度実施事業における重点事項は,次のとおりである。
 (1) 東京港,大阪港等の市街地海岸及び地盤沈下,侵食等が進行し,緊急に事業の実施が必要な新潟港,千葉港等の特定海岸に重点をおきつつ,災害発生のおそれがあり,民生安定上事業の促進を図る必要のある海岸について施設整備を実施した。
 (2) 45年の台風10号によって甚大な被害を受けた土佐湾沿岸のうち,高知港種崎地区の海岸保全施設の整備を47年から引き続き直轄事業として実施した。


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