3 小型船舶の安全対策


  海洋レクリェーションの大衆化が進むとともに,モーターボート,ヨット等のプレジャーボートの隻数は増加し,これら小型船舶の要救助海難も増加の傾向にある。最近の2〜3年間においては,要救助海難の10%前後を占めている。また,要救助海難には該当しないが,モーターボートが高速で遊走し,海水浴客や潜水者を死傷させ,漁網,漁業標識を破損し,あるいは航路筋で一般船舶の航行を妨害するなどの事例もあり,プレジャーボート運航者のルール無視とマナー欠如が関係者から指摘されているところである。
  小型船舶の航行の安全を確保するため,49年の船舶職員法の一部改正により,従来同法の適用のなかった総トン数5トン未満の一人乗りの小型船についても船舶職員の乗り組みを義務づけたところであるが,同法改正の趣旨が十分生かされるよう小型船舶操縦士試験の実施体制を整備し,日本船舶職員養成協会等の民間養成機関に対する指導等を行っている。
  構造,設備の面からは,48年の船舶安全法の一部改正により従来同法の適用が除外されていた船舶についても同法の適用となり,49年度から3年間に分けて段階的に船舶検査が実施されている。
  現在,船舶安全法第32条の規定により同法の適用が当分の間免除されている総トン数20トン未満の漁船についても早期にそれを対象とすることが要請されており,そのための実態調査等をすすめている。
  更に,秩序ある海洋レクリエーションの確立に寄与するため,49年5月からユーザー等民間有志による自主的な安全活動を積極的に援助育成しており,民間有志のうち一定の資格要件に合致した者を海上安全指導員として50年度末現在で約860人指定するとともに,パトロール活動を実施するための安全パトロール艇として約400隻指定している。これら海上安全指導員の活動をより組織的に行うため,各地に小型船交通安全協会,小型船安全推進協議会等の設立が推進されており51年10月1日現在,各地に35の組織が設立されている。
  このほか,(社)日本マリーナ協会において行っているマリーナの適正な配置に関する指導及び調整,マリーナ事業者,利用者に対する安全知識の普及等を目的としたマリーン・ウイークの実施等の活動に対し,積極的な指導を行っている。


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