(2) 四半期ごとにみた旅客輸送の動向
一般に旅客輸送は個人消費との関連が深いが,50年度には,実質個人消費支出は実質国民総支出の伸びを上回って増加し,それなりに景気回復の下支えとなっていた。しかし51年度には,消費支出の6割を占める勤労者世帯で実収入が前年度比1桁の伸び(9.5%増)にとどまったことなどを反映して,前年度比3.7%増と実質国民総支出の伸び(58%増)を下回る緩やかな上昇にとどまった。
国内旅客輸送も,このような個人消費の動向を反映して全般に低調であったが,さらにこれを四半期別にみると, 〔1−1−9図〕, 〔1−1−10図〕のとおり,51年4〜6月期,7〜9月期と実質個人消費が低い伸びを続ける中で,国内旅客輸送人キロは2期連続して落ち込みをみせた。しかし10〜12月期に入ると,個人消費は相変わらず伸び悩んだものの,旅客輸送は各輸送機関とも増加へと転じた。ちなみに,総理府の「家計調査」によれば,勤労者世帯の実収入はこの期に前年同期比11.6%増と前2期の伸び(7.1%増及び6.8%増〉を大きく上回り,また実質可処分所欝も3期ぶりにわずかながらプラスに転じるなど,個人所得に増加の兆しがうかがわれた。そして52年1〜3月期には,引き続き所得の緩やかな伸びが続く中で景気回復テンポの持直しとともに個人梢費もいくぶんその伸びを高めたが,旅客輸送量は逆に再び減少へと転じている。もっとも,これは国鉄の輸送量が,51年11月の運賃改定や異常な雪害等の影響から,定期外旅客を中心に前期比7.1%の大幅減少となったためであり,その他の輸送機関は前期に比べいくぶん伸びを低めながらも引き続き増加している。こうした中で,51年中はほぼ横ばいで推移していた航空の輸送量が,この期に前期比17.8%増と急激な拡大を蒸したことが注目される。
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