第2節 国民生活の高度化志向と旅客輸送


  我が国経済の高度成長は,1人当たり国民所得の急速な上昇をもたらし,また,第一次産業,第三次産業のウエイト及びその雇用を増大さも勤労者の労働時間を短縮させた。また,生活水準も向上し,高校,大難等の高等教育も著しい普及をみている。
  このような産業活動の活発化,第二次産業,第三次産業就業者の増加,学生数の増加により業務交通及び通勤通学輸送の増大をみるとともに,所得水準の向上,労働時間の短縮による余暇の増加に加えて,価値観の変化から余暇の使い方が活発化し,レクリエーションに関する輸送の定着,普及がもたらされ,旅客輸送は, 〔2−1−22図〕及び 〔2−1−23図〕のとおり,昭和40年代前半までは,実質GNP及び実質個人消費支出の伸びと密接な相関関係を保ちながら量的に拡大するとともに,その輸送構造も変化してきた。

  しかしながら,すでに46年度頃より輸送量の動きに変化がみられ,特に,48年秋の石油ショックを契機とする景気後退後には旅客輸送量の増勢が鈍化し,さらに,51年度においては人キロで戦後,統計が整備されて以来初めて対前年度比で減少をみるに至っている。


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