4 開港までの手続等
52年5月7日,妨害鉄塔除去の翌日から航空局のYS-11型機によって,航空保安施設のフライト・チェック(飛行検査)が実施され,航空保安無線施設,航空燈火についての完成検査が開始された。
また,8月22日,進入表面等の制限表面の上に出る立木の伐採が完了し,同月29日,空港公団から滑走路,誘導路,エプロン等についての飛行場完成検査申請がなされ,完成検査が実施された。
一方,飛行ルートは,懸案となっていた銚子上空の飛行について11月11日同市の合意が得られたことにより,近く決定される運びとなっている。
また,開港に関連して,千葉県,成田市,芝山町等地元公共団体等から出されているアクセス対策,騒音対策等の要望事項についても,運輸大臣と千葉県知事,関係市町村長等との数次におたる会談の結果,11月12日に最終的に合意に達し,これにより52年度内の開港についての地元公共団体の合意を得るに至った。
今後,日本航空(株)等の機長に対する路線資格の認定のための慣熟飛行,各国に対する航空情報(ノータム)の提供等の手続を進めるとともに,新空港への移転のための諸般の準備をすませ,いよいよ日本の新しい表玄関は開かれるわけである。
しかしながら,いわゆる成田空港問題は,むしろ,これから始まると言っても言いすぎではないであろう。開港とともに現実化してくる各種の問題,特に土地を提供し,あるいは騒音などの被害を受けることになる空港周辺の住民たちに対して,政府や空港公団は,引き続き誠意をもって対応していく必要がある。
成田空港問題というものが,いわゆるナショナル・プロジェクトと地域社会との摩擦相剋という形で10年以上の時の流れの中で展開されてきたことの持つ意味について,開港にあたって,謙虚に振り返ってみることも必要であろう。
そういう営みの上に立って,今後も引き続き努力を傾けることにより,成田空港と地域社会とが真に調和したものとなろう。
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