3 労働力の高齢化
我が国人口の年齢構成をみると 〔2−3−7図〕のとおり,50年には,年少人口(0〜14才)が24%,生産年齢人口(15〜64才)が68%,老年人口(65才以上)が8%の比率となっており,過去10年間に年少人口は1.4ポイント低下したのに対し,老年人口は逆に1.6ポイント上昇した。これを推計による10年後の60年と比較すると,年少人口は1.4ポイント低下する一方,老年人口は1.8ポイント上昇することとなり,近い将来にわたっても過去10年間の傾向が続くことを示している。すなわち,年少人口構成の低下に見合うだけ老年人口構成が上昇し,生産年齢人口構成はほぼ一定の割合で推移する傾向にあり,人口構成の点だけをとらえても我が国人口の高齢化が進んでいることを示している。次に,人口の高齢化を端的に表わす老年化指数(15才未満人口に対する65才以上人口の比率)によりその程度をみると,40年には24.4であったもりが50年は32.6となり,さらに,60年には42.5となることが見込まれ今後,人口の高齢化が一層進むことが予想される。
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以上述べた人口の高齢化は,当然,労働力の分野にも大きな変化をもたらしている。労働力人口の年齢構造の変化を 〔2−3−8図〕によりみると,労働力人口に占める割合では,45〜54才層及び55才以上層がそれぞれ40年の15.4%,14.6%から50年には19.0%,15・6%へと上昇し,さらに,60年には21.9%,19.1%へと上昇が見込まれるのに対し,15〜24才層は40年の23.3%から50年は15.5%へと著しく低下しており,さらに,60年には12.0%と40年に比べ半減することが予想される。このように,45才以上の中高年齢層の割合が上昇する一方,中高年齢層の上昇テンポを上回るテンポで15〜24才の若年層が低下するため,労働力の高齢化を表わす労働力中高年齢化指数(15〜24才の労働力人口に対する45才以上の労働力人口の比率),同高齢化指数(15〜24才の労働力人口に対する55才以上の労働力人口の比率)も著しく上昇しており,労働力の分野においても高齢化が進んでいくことがうかがえる。
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労働力の高齢化が具体的に企業内労働力の面にどう表われているかをみると,まず,雇用者の年齢構成は 〔2−3−9図〕にみられるとおりである。このうち運輸業は,全産業及び製造業に比べ,55才以上の高年齢層の割合が低くなっているが,24才以下の若年層の割合が低いことに加えて30〜54才の各層が軒並み全産業及び製造業を上回っているため,先に雇用の動向で述べたように,平均年齢も高いものとなっている。次に,企業内労働力の高齢化の進展状況をみると 〔2−3−10表〕に示されるとおり,企業内労働力の中高年齢化指数(15〜24才の雇用者数に対する45才以上の雇用者数の比率)では,40年において運輸業は既に全産業及び製造業を上回っていることに加え,その水準も運輸業は早くも鱒年に工00を超え序50年には全産業の136.7を大幅に上回り239.3となった。さらに,企業内労働力の高齢化指数(15〜24才の雇用者数に対する55才以上の雇用者数の比率)をみると,運輸業は中高年齢化指数と異なり,40年,45年と全産業を下回った水準で推移していたのが50年には逆転しており,運輸業においては中高年齢化はもとより,高齢化も全産業及び製造業を上回るテンポで進んでいることが表われている。ちなみに,運輸企業における年齢構成の推移を,国鉄を例にとってみると 〔2−3−11図〕のとおり,職員の高齢化が進んでおり,52年4月現在において45才以上の層が全職員の約半数を占めるに至っている。なお,外航海運における労働力の高齢化については第5章第2節で述べることとする。
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以上述べたように,今後,我が国の人口構成がこれまで以上のテンポで高齢化していくとすれば,企業内労働力も高齢化していくことになろう。なかでも運輸業においては,前述したとおり既に高齢化の程度が他産業を上回っており,今後その傾向は更に顕著なものとなることが予想される。こうした企業内労働力の高齢化傾向は,企業の経営面においても少なからぬ影響を及ぼすものと考えられる。
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