1 海洋法会議の経過


  現行の海洋法4条約等従来の海洋に関する制度を総合的に見直すとともに,新しい海洋秩序を形成することを目的として開催されている第3次国連海洋法会議は,昭和45年の第25回国連総会において開催が決定され,48年に第1会期が開催されて以来,52年7月まで6回にわたり審議を行ってきた。
  今次の海洋法会議は,深海海底における鉱物資源の開発問題を契機として開催されることとなったのであるが,そこでは,領海,国際海峡,経済水域,群島,公海等の海洋法一般の問題さらには海洋汚染,科学調査,紛争解決等の諸問題についても審議を行うこととなった。
  50年の第3会期末には,それまでの審議をふまえ,以後の交渉のたたき台となる「非公式単一交渉草案」が議長より配布され,また,51年の第4会期末にはその改訂版が配布された。
  さらに,ニューヨークにおける51年夏の第5会期,52年春の第6会期では,改訂草案をベースに各国の利害対立の激しい重要事項を取り上げて審議を行い,第6会期終了後には,審議の過程で各国から提出された修正案,利害関係国間の協議により合意された修正案等を考慮して議長及び3委員長が従来の4部から成る改訂草案を修正・統合して作成した「非公式統合交渉草案」(ICNT)が配布された。
  この草案は,本文303条から成り,今回初めて作成された前文及び最終条項を加え,条約としての形式を備えたものとなっている。
  53年3月28日からジュネーブにおいて開催が決定されている第7会期においては,この統合草案をベースに審議を行い,草案の公式化に至ることが期待されるが,なお最終的合意に至るまでにはさらに1〜2会期の開催が必要であろうとみられている。


表紙へ戻る 次へ進む