4 情報提供・航行管制
船舶のふくそうする海域での交通安全を図るためには,情報提供により船舶交通の現況を周知するとともに,航行管制により船舶の対面,交差の機会を減ずる等の危険発生の可能性を少なくすることが必要である。このため,海上保安庁は,港内水路が複雑で入出港船舶のふくそうする京浜港について,情報提供・航行管制を一元的に行うシステムを東京湾海上交通情報機構の一環として45年度から整備してきており,既に,京浜港川崎区及び横浜区に船舶通航信号所及び港内交通管制室を設置してこれらの業務を行っている。
ここでは,レーダー及びテレビカメラを用いて港内における船舶交通に関する状況を常時監視し,これらにより得たデータ等に基づき,総合的な船舶交通に関する情報を定時放送及びVHF通信により提供するとともに,10か所の信号所の電光文字標示を遠隔操作し,港則法に基づく港内航路管制を行っている。
さらに,上記の港の区域以外の東京湾についても,レーダー,コンピューター等の使用による本システムの導入を図る必要があり,まず,最も必要性の高い浦賀水道航路を中心とする東京湾内の南部海域を対象として,このシステムの整備を推進してきた。51年度には,観音埼レーダー局及びその関連施設の整備が完了したので,52年2月に第三管区海上保安本部の新たな事務所として「東京湾海上交通センター」を設置し,航行上必要な情報の提供及び海上交通安全法に基づく航行管制の両業務を開始した。ここでは,本牧及び観音埼のレーダー映像を常時監視するとともに,レーダー映像を始めとして船舶交通に関する各種の情報をコンピューター処理し,航路の航行制限の状況,巨大船の浦賀水道航路の通航予定,同航路及びその出入口付近における通航船の動向並びに漁ろうをしている船舶の集中状況等を毎時2回定時に放送している。また,船舶からの要請に応じて当該船舶の船位等の情報及び衝突の危険が予測される場合における航行上必要な情報をVHF無線電話により提供するとともに,海上交通安全法に基づく巨大船寺からの航路通報の受理,航路入航予定時刻の変更の指示等航行管制の業務を行っている。
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