4 海上衝突予防法の改正


  第80回通常国会において従来の海上衝突予防法(以下「旧法」という。)を全面改正した新しい海上衝突予防法(以下「新法」という。)が成立した。旧法は1960年の国際規則を国内法化したものであったが,その後船舶交通はますますふくそうの度を加え,巨大タンカー,エアークッション船,プッシャーバージ等の出現にみられるように船舶の大型化,高速化,航行形態の多様化の傾向も著しく,また,レーダー等の航海計器の性能の向上も目ざましいものがある。このような船舶交通の実態の変化に対応して航行の安全を図るために,昭和47年IMCOが開催したロンドンにおける国際会議において「1972年の海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約」が採択された。新法は,この条約を批准するため制定されたものであり,条約の発効日にあわせて52年7月15日から施行されている。
  新法の主な改正点は,@適切な見張り,常時安全な速力による航行等の航法上の一般原則を整備した,Aレーダー装備船に対して,レーダーの適切な使用を義務づけた,B保持船(2隻が見合い関係になった時に,避けてもらえる立場にある船舶)の針路・速力の保持義務を早期に解除することができることとし,この場合にとるべき動作を定めた,C狭い水道等における航法として横切りの制限,びょう泊の禁止等の規定を設けることにより,その特別の航法の充実を図った,DIMCOが採択した分離通航方式に関する特別の航法を導入した,Eエアークッション船,喫水制限船等の新しい航行形態の船舶に関する燈火の新設等燈火・形象物についての規定を整備した等である。


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