5 海上交通秩序の維持
(1) 海事関係法令の励行
海上保安庁は,海事関係法令の励行を図るため,51年には,約14万4,000隻の船舶に立入検査を実施するなどあらゆる機会を通じて現場における指導に努めた。
取締りに当たっては,海難の発生に直接・間接に結びつくおそれのある船舶職員法,船舶安全法違反等に重点を置いた。
また,特別取締りは,4月下旬から5月上旬の行楽期間中及び年末年始の期間中に全国一斉に公開で実施したほか,7〜8月の夏期レジャーシーズン中には,各管区海上保安本部の事情に応じて適宜実施した。このほか,海上交通安全法に定める航路においては,毎月1回程度海上交通安全法の特別指導取締りを実施した。
(2) 東京湾,伊勢湾及び瀬戸内海における交通安全対策
船舶交通のふくそうする東京湾,伊勢湾及び瀬戸内海の3海域においては,48年7月海上交通安全法を施行し,浦賀水道航路等11の航路を設定して,航路航行義務,速力制限等航路における船舶の特別の交通方法を定めるとともに,船舶交通に危険を及ぼす行為を規制することによって海上交通の安全を図ってきた。特に,巨大船等に対しては,航路航行予定時刻等の通報(航路通報)を励行させ,この通報に基づいて航路航行予定時刻の変更,進路警戒船等の配備等必要な指示を行っている。
また,海上交通安全法の励行を図るため,上記11の航路を6ブロックに分け,各ブロック毎に1〜2隻の巡視船艇を常時配備し,さらに,ヘリコプターを使用して,現場における船舶交通の整理,航法指導を行うとともに,海上保安官による訪船指導,海難防止講習会等を通じて同法の周知活動を続けている。
(3) 港内における交通安全対策
港内における船舶交通の安全及び港内の整とんを図るため,51年度末現在,全国の49.9港に港則法を適用し,このうち,特に船舶交通がふくそうし,大型船,外国船が常時出入する73港を特定港に指定し,港長を置いて,びょう地の指定,危険物荷役の許可等の規制を行っている。
51年度には,浦河港,神戸港及び境港の港域の拡張等を行うため,港則法施行令等を改正した。
このほか,船舶交通の特にふくそうする17港28か所の水路においては,同法に基づき,45か所の信号所で航行管制を実施している。
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