1　国際航空輸送

(1)　世界の航空輸送実績

　　昭和51年における国際民間航空機関(ICAO)に加盟している135か国の定期航空会社の輸送実績(国際線及び国内線)は,旅客輸送量についてみると,前年と比べ,旅客数で8.3%増の5億7,800万人,人キロで9.8%増の7,450億人キロであった。また,貨物輸送量はトンキロで9.8%増の212億5,000万トンキロ,郵便物輸送量は2.8%増の29億8,000万トンキロであり,ここ二,三年の不況期の停滞を脱し,再び増加の傾向にある。

(2)　外国航空企業の乗り入れ状況

　　52年7月1日現在,我が国に定期便を乗り入れている外国航空会社は30社で,週間運航便数は344.5便(前年同期比0.7%減)であった。

(3)　国際航空運賃

　　51年度における国際航空運賃の動向は次のとおりである。

　ア　旅客運賃

　　国際旅客運賃については,50年度から推進されていた国際航空運送秩序の正常化の一環として,その適正化を図るための施策を51年度も継続して実施した。特に問題となっていた太平洋線における不正販売行為に対して,運輸省は51年2月から6月にかけて航空会社,代理店等への立入検査を実施し,不正販売行為の見受けられたものに対しては警告を発した。また,日本発太平洋線の航空運賃について,バルク運賃等による市場の混乱を収拾するため,50年10月団体包括旅客運賃が設定されたが,51年度にはこの団体包括旅行運賃について51年6月の国際航空運送協会(IATA)ニューヨーク運送会議で採択された運賃体系の変更を10月1日実施をもって,また,51年10月のIATAマイアミ運送会議で採択された運賃の値上げを52年4月1日実施をもって各々認可した。さらに,51年3月に太平洋線運航主要3社を中心として太平洋線航空運送秩序確立委員会が発足し,52年7月1日現在,日本発着関係の太平洋線を運航している全航空会社(7社)が加盟しており,市場正常化に努めている。
　　太平洋線以外の路線では,運輸省は,欧州線旅客運賃について季節区分の変更(運賃水準据置き)を52年3月7日実施をもって認可したが,東南アジア線については,市場秩序の乱れが見受けられるため,運賃値上げは認めていない。

　イ　貨物運賃

　　国際貨物運賃については,IATAは,51年3月のIATAジュネーブ貨物運送会議において一般的経費増に対処するため,欧州線については平均2.3%,また,東南アジア線については平均4.5%値上げする協定を採択した。また,太平洋線については,51年2月のIATAサンディエゴ貨物運送会議において一部貨物運賃を10%値上げする協定が採択された。
　　欧州線及び東南アジア線について,運輸省は,52年3月7日実施をもって前記運賃値上げを認可した。太平洋線については,同線を運航する1航空会社が申請を行わなかったが,運輸省は,49年以降同線について運賃改定が行われていないことを考慮し,IATA協定のみを52年2月28日に認可した。運賃については,52年7月1日現在においても1航空会社がIATA協定に同調しないために認可していない状況にある。


---