2 日本の国際航空輸送状況
51年度の我が国の国際航空輸送実績は 〔III−1表〕のとおりである。国際航空輸送量のバロメーターである有償トンキロは,前年度に引き続き13.3%増と大幅な伸びを示した。
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輸送力についてみると,各路線で便数の増加等に努めたこともあって,飛行時間5.0%,飛行距離5.7%,有効トンキロ10.6%の増加となった。
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51年度の日本航空(株)及び日本アジア航空(株)の国際線旅客輸送量は,旅客人員324万7,000人,旅客人キロ158億5,900万人キロであり,前年度に比べそれぞれ24.5%,14.2%の増加となり,引き続き高い伸びを示した。これは,米国建国二百年祭,モントリオール・オリンピック等の行事があり,特に日本人旅客が大幅に増加したこと,韓国線,台北関係線で新路線の開設等供給力の増加が図られたこと,及び南回り欧州線で大幅な旅客需要の伸びが見られたこと等による。旅客人キロの伸びが旅客人員の伸びを下回っているのは,韓国線,東南アジア線のような比較的近距離の需要の伸びが大きかったことによる。また,旅客座席キロは輸送力の増強により50年度に比べ8.0%増加し,座席利用率も3.4ポイント上昇して62.2%となった。
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次に,51年度の我が国出入旅客について我が国航空企業の積取比率をみると 〔III−4表〕のとおりである。太平洋線の0.8ポイントの増加,北回り欧州線0.9ポイントの減少,南回り欧州・東南アジア線4.0ポイントの増加となり,合計で50年度に比べ2.5ポイント増加し34.9%となった。南回り欧州・東南アジア線の積取比率が増加しているのは,日本航空(株)による韓国関係路線の開設及び日本アジア航空(株)による台北以遠路線の開設があったためである。
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51年度の日本航空(株)及び日本アジア航空(株)の国際貨物輸送量は13万2,794トン,9億4,240万トンキロと,前年度に比べそれぞれ12.8%,11.9%の増加となり,引き続き増勢を示した。また,我が国出入航空貨物量も 〔III−5表〕のとおり出国で11.8%増,入国で8.7%増,合計で10.4%の増加となった。前年度に引き続き,韓国・東南アジア諸国から日本経由アメリカ向けの繊維製品等の輸送は好調に推移した。
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日本航空(株)及び日本アジア航空(株)の積取比率は,出国,入国とも前年度を上回った。これは,前記東南アジア発アメリカ向け繊維製品及び日本発アメリカ向けトランシーバー,コンピューター部品等が活況であったためである。
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なお,国際航空貨物輸送に係る複雑な手続事務を迅速かつ正確に処理し,国際航空貨物の流通の改善等を図るための情報システム化が必要となっているが,運輸省では,48年度から民間団体である国際航空貨物輸送情報システム開発協議会(JACIS)の協力を得てシステムの開発を推進しており,51年度には,輸出業務のデータ量調査及びシステム構想の策定を行うとともに,国際データ伝送システムに係るシステム構想の検討を行った。
51年度の我が国の航空関係国際収支は 〔III−7表〕のとおり,4億6,700万ドルの赤字と,依然大幅な赤字である。これは,日本人の海外旅行者が多く,また,外国航空企業の積取比率が高いため,従来より赤字の大部分を占めている旅客運賃の赤字幅が前年度に比べ6,400万ドル拡大したこと及び港湾経費の赤字幅が拡大したことによる。しかし,受取の伸び(23%)が支払の伸び(19%)を上回っており,近年この傾向が続いていることは注目される。
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