2 ICAO特別運送会議の開催
ICAOは,昭和19年に設立された国連の専門機関である。ICAOの従来の活動は,航空の技術的問題,法律的問題に関するものが多く,経済的問題に関するものは極めて限定されていた。しかし,発展途上国を中心として,近年国際航空界において最も尖鋭化している@輸送力問題,A不定期航空問題,B運賃設定機構問題及びC運賃遵守問題,といった経済的問題についても世界的なベースで検討すべきであるとの要求が高まり,51年12月の運賃設定機構専門家パネルに続き,52年4月にはこれらの4つのテーマについて討議するための特別運送会議がモントリオールで開かれた。
これらの会議の結果,それぞれのテーマについて次のような勧告及び決議が採択された。
(1) 輸送力問題
過剰輸送力の発生に対処するため,理事会が輸送力を規制するための基準,事前審査主義を基礎とするモデル条項等を作成すること等を勧告する。
(2) 不定期航空問題
チャーター規則の不統一により定期航空と不定期航空が相対化し,輸送力の点からも問題が起こっていることから,不定期航空運送を定期航空運送から区別する定義又はガイドラインを設定するための研究を行うこと,定期業務の存立基盤を害することなく旅客が不定期便の長所を利用する機会を与えること等を勧告する。
(3) 運賃設定機構問題
国際航空輸送協会(IATA)の欠点の改善措置として,ICAOの代表がオブザーバーとしてIATA運送会議に出席すること等を勧告したほか,運賃設定過程における政府の意見の反映,タリフの簡素化等に関する勧告を採択した。
(4) 運賃遵守問題
認可運賃違反の頻発が市場の混乱をひき起こし,航空企業の財政悪化をもたらすことから,タリフ違反に対する罰則を設けること,タリフ違反を調査する機構をもつこと等を勧告する。
|