3 チャーター輸送の進展
我が国発着のチャーター便は51年には約4,500便(貨物便を含む)であり,ここ二,三年間は我が国の航空事情を反映してはほぼ頭打ちにある。また就航先としては,フィリピン,韓国,香港等の近距離観光市場への集中が顕著となっている。
チャーター便の運航がさかんな北大西洋市場においては,旅客輸送について50年には輸送人員で全体の29%に,またヨーロッパ地域内では同じく約42%に達しており,チャーター輸送が定着している。欧米におけるチャーターは,北欧諸国から地中海地域へのバカンス輸送,欧米間の里帰り輸送等を基盤とし,特定団体の会員のみに認められるアフィニティ(affinity)チャーター,包括旅行(inclusive tour)チャーター等を中心に発達してきたが,近年に至り事前予約(advance booking)を枠組として,一般の個人が自由に利用できるチャーター制度の導入が進められてきている。
しかし他方,チャーターの発達に伴い,その便数が増加し,かつ計画的に運航されるようになってきたので,定期航空事業に対する影響が問題とされてきており,殊に一般公衆が利用できるチャーターについては,その適用規則いかんで定期航空事業との境界が不明確となるところから,低廉な輸送サービスの提供問題と定期路線網の維持との調整が重要な課題となってきている。
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