3 国際機関をめぐる動き
国際民間航空機関(ICAO)は,シカゴ条約により設立された民間航空に関する国際的機関であって,国連の専門機関である。ICAOの従来の活動は,航空の技術的問題法律的問題に関するものが多かったが,近年の国際航空界において尖鋭化している経済的問題についても世界的ベースで検討すべきであるとの声が高まり,@輸送力問題,A不定期航空問題,B運賃設定機構問題,C運賃遵守問題といった経済的テーマについて討議するため,52年4月1CAO特別運送会議がモントリオールで開催された。
同会議の結果,@過剰輸送力の発生に対処するため,理事会が輸送力を規制するための基準,事前審査主義を基礎とするモデル条項等を作成すること,A不定期航空運送と定期航空運送とを区別する定義又はガイドラインを設定するための研究を行うこと,B国際航空運送協会(IATA)の欠点の改善措置として,ICAOの代表がオブザーバーとしてIATA運送会議に出席すること,C認可運賃違反に対する罰則を設けるとともに,違反を調査する機構を設けること,等の勧告を採択した。
また,IATAにおいては,53年6月の臨時総会で,二国間の最低運賃決定については,従来の全会一致主義から誉事国の航空会社の便益を最優先すること等の9項目の理事会の勧告を参加各社の大多数が支持した。これはいまだ最終決定には至らないものの,新しい国際航空環境に対するIATAの動向として注目される。
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