2 領海及び漁業水域における警備業務


  海上保安庁は,この拡大された海域を警備するため現有の巡視船艇・航空機の総力を結集し,適宜他管区から巡視船艇を応援に動員するなど,当面最大限効率的な運用を行うことにより,領海及び漁業水域の全域にわたり,監視・取締りを行い,増大する業務に対処している。

(1) 領海内において不法操業以外の不法行為又は不審な行動をとった外国船舶の警備

  領海の12海里への拡張に伴い,我が国の領海を航行する外国船舶に対する監視・取締り業務も増加したが,海上保安庁は52年において,日本漁船を装った国籍不明の不審船2隻及び我が国の領海内において不可抗力若しくは海難によらず停泊,はいかい等の不審な行動をとった外国船舶72隻を確認した。これらの外国船舶に対しては,我が国の法令に違反している場合には検挙し,その他の場合には,その行為の中止を要求し,警告のうえ領海外へ退去させるなどの措置をとった。

(2) 緊急入域した外国船舶の警備

  52年に,我が国の領海又は内水内に荒天避難,海難等の理由により緊急入域した外国船舶は,728隻で,韓国船305隻,ソ連船129隻,台湾船119隻,その他の国の船舶175隻となっている。緊急入域船舶の内訳は,荒天避難が600隻と全体の82%を占め,次いで機関故障等による海難73隻,急患発注23隻,修理補給17隻等となっている。
  海上保安庁は,我が国の領海又は内水内に緊急入域した外国船舶に対しれ,実情を調査し,緊急性が認められない船舶については領海外退去を求めるなどの措置をとった。

(3) 外国漁船による不法操業の警備

  海上保安庁は,我が国領海及び漁業水域における外国漁船による不法操業を防止するため,外国漁船の操業実態は握に努め,こうした諸資料分析に基づいて極力効率的な監視・取締りを行っている。
  海上保安庁で確認した外国漁船の不法操業状況は,52年に我が国の領海内で不法操業を行った外国漁船107隻,漁業水域に関する暫定措置法が施行された52年7月1日から53年7月3日までの間に,漁業水域内で不法操業を行った外国漁船800隻であった。
  海上保安庁は,これら不法操業外国漁船に対し,検挙,誓約書を徴しあるいは警告のうえ退去させるなどの措置をとった。
  なお,53年4月12日から18日にかけて中国漁船が尖閣諸島周辺の領海に集団で進入し,操業等を行った事件があった。
  海上保安庁は,事件発生と同時に巡視船等を現場に急行させ,不法入域漁船に対し,拡声器,垂れ幕等により,領海外退去を命じた。
  漁業水域内における外国漁船の操業状況及び措置状況は 〔2−5−1表〕のとおりである。


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