3 自動車整備の充実
(1) 点検整備の徹底
自動車の安全性を常に確保し,排出ガス,騒音等の公害を防止しながら自動車を使用するためには,自動車の各部位を点検し,必要に応じて整備を行うことが必要不可欠である。このため,自動車を運行する者に対して一日一回運行に先だって仕業点検を行うことを,また自動車使用者に対し定期的に自動車を点検し,必要な整備を行うことをそれぞれ義務づけるとともに,国で行う車両検査等の機会をとらえ指導に努めている。なお,定期点検整備の促進対策の一環として,定期点検整備の実施についてその自動車の前面ガラスに定期点検整備実施済ステッカーを貼付する運動を展開し,自動車使用者の意識向上を図っている。
さらに,自動車運送事業者及び多数の自家用自動車を使用している者に対しては整備管理者の選任を義務づけ,自動車の点検整備励行の徹底を図るとともに,整備管理者に対し管理能力の向上を図るため定期的に研修を実施している。なお,52年度末における全国の整備管理著数は約22万7,000人となっている。
(2) 自動車分解整備事業の構造改善等
自動車分解整備事業は,自動車の分布に応じて約7万6,000の小規模工場が全国的に散在しており,当該業種は労働藁約的な業種であるため生産性の向上が非常に難しく事業経営は非常に厳しい条件下におかれている。
さらに,公害の発注,高速道路網の整備,自動車構造の複雑化等の客観情勢が変化している現況からして,整備業の社会的役割はますます重要なものとなってきているため,自動車の安全性の確保,公害の防止を図る施策の一環として,自動車分解整備業界に対して企業経営の近代化を指導してきている。
現在,同業界は中小企業近代化促進法に基づき,人材養成,システム開発等のいわゆる知識集約型の構造改善計画(第2種)を56年度末を目標に推進している。
なお,企業集約型の構造改善計画(第1種)は52年3月で終了し,計画期間中に行われた集約化は35,194企業によって,合併91,企業組合1,協業組合329,協同組合230及び業務提携671であり,さらに単独企業による適正規模化は5,066であった。
(3) 整備夏負の技術向上
自動車排出ガス規制の強化及び自動車の構造装置の複雑化に伴い,自動車整備要員に要求される整備技能について新しい知識及び高度の技術が必要となってきている。この整備技能の向上を図るため自動車整備士の技能検定を実施しており,その合格者数は毎々増加し,自動車分解整備工場における整備要員約37万人中に占める比率は,52年度において68%に達した。また,自動車分解整備工場の検査主任者約13万1,000に対し,毎年研修を実施するなど整備技能の講習研修体制の充実に努めている。
(4) 指定自動車整備事業制度の充実
指定自動車整備事業制度は,民間の整備工場における優良な整備能力を活用することにより国の検査業務の合理化を図り,かつ,健全な整備事業の育成発達を促すために設けられたものであり,自動車分解整備工場のうちから優良な設備,技術及び管理組織を有し,所定の検査設備と自動車検査員を有する事業場を陸運局長が指定するもので,この事業場が所定の整備及び検査を行った場合には,継続検査の際の現車提示が省略されることとなっている。
指定整備工場の数は逐次増加し,52年度末現在においては全整備工場の19.9%に梱当する約1万5,100工場に達し,これらの指定整備工場が取扱った指定整備台数は,52年度において約707万台となったが,これは継続検査総数の55.0%に相当している。
今後も指定整備台数の拡大を積極的に図る必要があるため,指定整備工場の育成を図ることとしており,また,指定自動車整備事業制度は国の車両検査実務を実質的に代行するものであるので,本制度の適正な運用を図るための指定整備工場に対する指導監督体制の強化に努めている。
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