1 経営環境


  世界の海運市況は,昭和52年においてもタンカー,不定期船の両部門ともに引き続き著しく低迷しており,今後も市況の早急な回復は見込み難い状況にある。このような海運市況の低迷が我が国海運企業の経営に及ぼす影響は,一般的には,多くの企業,特に海運集約参加企業の自社保有船隊が長期契約船として構成されていることから,他国の海運企業に比べてその分だけ小さいといえよう。しかし,このような長期契約船にも,逐次契約が終了しフリー船とならざるを得なくなったりするものが増加してきており,長期化する世界海運市況の低迷は,次第に我が国海運企業の業績不振に大きな影響を及ぼしつつあり,特にフリー船を多く抱える企業にはまことに深刻な問題となっている。
  また,市況の低迷とともに,近年における諸経費の上昇が,我が国海運企業の収支を圧迫する要因の一つとなっているが,このような諸経費の動向は,52年度に入り全般的にその上昇が沈静化してきており,苦しい環境におかれている海運にとって一つの明るい材料となっている。


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