2 1973年の船舶からの汚染の防止のための国際条約に関する
1978年議定書
船舶からの海洋の汚染の防止のための規制については,国際的に「1954年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約」及び同条約の改正により,実施されているが,1973年海洋汚染防止条約はこれらにかわる条約として,1973年11月に採択された。本条約は1954年条約では規制対象物質が重質油のみであったのに対し,油の範囲を軽質油まで拡大するとともに,新たにばら積有害液体物質,個品輸送の有害物質,汚水,廃棄物をも規制対象物質とし,船舶に対する大幅な構造・設備規制等を規定した海洋汚染の防止のための包括的な条約である。
その後,1976年末から1977年初めにかけて,米国沿岸において相次いで発生した油汚染事故にかんがみ,1977年3月にカーター米国大統領は,タンカーの安全及び汚染防止の強化に関する声明を発表した。これをうけIMCO(政府間海事協議機関)において,タンカーの構造,設備基準等の強化について数回の検討を重ね,1978隼2月に開催された国際会議において,1973年海洋汚染防止条約に関する1978年議定書が採択された。本議定欝は1973牢海洋汚染防止条約を一部修正し,一定タンカーについてSBT(分離バラストタンク方式),COW(原油洗浄方式),CBT(クリーンバラストタンク方式)等を義務付け,タンカーの構造・設備規準をさらに強化するとともに,同条約の発効を容易にするため同条約の附属書II(ばら積有害液体物質の規制)の実施時期を遅らせたものである。また同会議において,本議定書の発効目標時期を1981年6月とする旨の決議も同時に採択された。
我が国としても,このような国際的動向に対応し,本議定書を早期に批准,国内法化するため,IMCOにおける本議定書に関する技術的問題点の検討に積極的に参加するとともに,国内体制の整備を行っているところである。
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