5 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法の制定
空港周辺は,空港と都心部との交通網が整備され,空港に関連する便益施設が建設される等の要因により宅地化が進展する傾向にある。このような傾向にもかかわらず,従来の空港周辺における土地利用の進め方は,道路等の都市施設の計画的な整備が中心であり,航空機騒音による影響を受ける地域であるからといって,これと調和する土地利用が進められるわけではなく,むしろ住居系の土地利用を進めることさえ容認されていた。そこで,航空機騒音問題を根本的に解決するためには,従来の対策に加えて,都市全体の中で空港を位置づけ,その周辺について住宅等の建築規制等の措置を講じ,適切で合理的な土地利用を実現する必要があり,このための制度を確立する必要がある。
空港周辺について航空機騒音により生ずる障害を防止し,あわせて適正かつ合理的な土地利用を図る必要があると認められる空港を政令で特定空港として指定し,この指定があれば,特定空港の設置者は,おおむね十年後における著しい航空機騒音が及ぶこととなる地域等を示して,関係都通府県知事に対し,航空機騒音対策基本方針を定めるべきことを要請しなけばならない。
(2) 障害防止地区及び同特別地区についての都市計画及び同地区内における建築制限
都道府県知事は,特定空港の周辺で都市計画区域内の地域においては,航空機騒音対策基本方針に基づき,都市計画に障害防止地区及び同特別地区を定めることができる。障害防止地区内において住宅等を建築する場合には,防音構造としなければならず,同特別地区内においては,都道府県知事が許可した場合を除き,住宅等の建築をしてはならない。
障害防止特別地区内における住宅等の建築禁止により通常生ずべき損失は,特定空港の設置者が補償しなければならず,住宅等の建築禁止によって土地の利用に著しい支障をきたすこととなる場合に,当該土地の所有者が当該土地を買い入れるべき旨を特定空港の設置者に申し出るときは,特定空港の設置者は,これを時価で買い入れる。
特定空港の設置者は,その買い入れた土地を地方公共団体が公園広場等に利用するときは,これを無償で使用させることができ,また,地方公共団体が航空機騒音による障害の防止に資する施設の整備を行うときは,その経費の一部を補助することができる。
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