3 労働時間の動向


  労働省毎月動労統計調査により,雇用者ベースでの53年における総実労働時間の動きをみると,調査産業計は175.2時間/月で対前年比0.4%増,製造業は175.6時間/月で同0.8%増といずれも小幅ながら前年水準を上回った。運輸業は,184.3時間で前年比0.1%減とほとんどの産業が増加したなかでわずかながら減少した。運輸省関係業種を個別にみてみると,船舶製造・修理業,舶用機関製造業では168.5時間/月(同4.2%減),鉄道業では170.9時間/月(同0.5%減),道路旅客運送業では195.7時間/日(同0.2%減),旅館その他の宿泊所では197.8時間/月(同0.4%減),といずれも減少しているなかで道路貨物運送事業では206.2時間/月(0.3%増)と調査産業計と同じ増加率を示した。
  次に景気判断の先行指標である所定外労働時間の動きをみてみる 〔1−5−17図〕。所定外労働時間は長期的にみるとすう勢として減少傾向にあるが,こうした長期傾向を加味して最近の動向を毎月勤労統計調査によりみてみると,製造業の所定外労働時間は13.7時間(前年比5.0%増)で51,52年に引き続いて前年水準を上回った。これを四半期別にみると,前年同期比で1〜3月期1,1%増から10〜12月期8,1%増と生産の回復を反映して期を追って増加幅が拡大した。この結果,製造業平均の所定外労働時間は,今回不況直前のピーク期(48年4〜6月期)を100として,50年4〜6月期には49.3にまで低下したが,54年1〜3月期には83.4にまで回復した。

  運輸省所管事業についてみると,船舶製造業では50年度第2,第3四半期を底に52年度第1四半期にはピークを示したが,その後減少し,53年度第1四半期には製造業平均の水準をはじめて下回る状況となった。運輸業は,調査産業計より所定外労働時間が概ね1.5〜2倍程度となっているが,これは交通労働の特性からくるものであり,なかでも道路貨物運送業は高水準となっている。


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