4 賃金の現状


  労働省毎月勤労統計調査によれば53年における調査産業計の平均月間現金給与総額は,235,378円(年間累計で2,824,398円)で前年に比べて6.4%増となり,4年連続して前年の伸び率を下回った。
  これを定期給与と特別給与に分けてみると,定期給与は,174,739円で前年に比べて7.1%増(前年9.2%増)となり,前年に引き続いて一桁台の伸びとなった。特別給与は60,639円(年間累計では727,566円)で4.5%増(前年6.3%増)と前年より低水準の伸びにとどまった。実質賃金は,名目賃金の伸びが前年より鈍化したにもかかわらず,消費者物価上昇率が前年比3.8%(前年8.1%)と大幅に鎮静化したために,前年に比べて2.5%増(前年05%増)となった。
  産業別に現金給与総額の動きをみると,不動産業が9.4%増と最も大きい伸びを示し,運輸関係業種では6.0%と4年連続して前年の伸びを下回った。運輸関係業種についてみると 〔1−5−18図〕,船舶製造・修理業,舶用機関製造業では2.4%減と,造船不況の影響が現われている。旅館・宿泊業は52年に増加率を増したものの,53年は6.0%とほぼ51年の水準の伸びにとどまった。船員については,3.3%増となっており,前年より低い水準の伸びであった。

  一方,企業規模別の賃金格差 〔1−5−19図〕は,運輸・通信業でみると,きまって支給する給与では300人未満の企業で1,000人以上の企業より約1割低位にあるもののその格差は調査産業計と比較すると少い。これに対し,現金給与総額ではやや格差縮小の方向にはあるというものの決まって支給する給与に比べて格差は大きくなっている。


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