2 国鉄再建に関する対策


(1) 「国鉄再建の基本構想案」の提出

  国鉄は154年7月2日に「国鉄再建の基本構想案」を運輸大臣に提出した。
  これは,52年12月に閣議了解された「日本国有鉄道の再建の基本方針」に基づく国鉄当局の具体的な考え方を提出するよう,かねてから運輸大臣が要請していたことに応えて,提出されたものである。
  この基本構想案によると,今後,国鉄は経営の重点化・減量化のための諸施策を講じ,要員については当面,60年度35万人体制をめざすほか,運賃の適時適切な改定,工事規模の抑制など,50年代を通じ経営健全化への努力を尽くすことにより,行財政上の支援とあいまって,60年度に,今後開業する新幹線に伴う損益を除く一般純損益で収支均衡を達成することとしている。
  運輸省としては,この基本構想案の具体的内容について,さらに調整を行ったうえ,政府としてとるべき国鉄再建の具体的対策を決定していくこととしている。

(2) 地方交通線対策の推進

  前述したように,国鉄地方交通線問題は,国鉄再建のために早急に取り組まなければならない重要な問題となってきているが,この地方交通線の取扱いについては,51年9月以降運輸政策審議会委員等による国鉄地方交通線問題小委員会において,検討が進められ,54年1月に「国鉄ローカル線問題について」と題する最終報告は,効率性が低く,国鉄の自立経営上の負担となっている路線で,都市間旅客輸送等の国鉄が自立経営すべき路線以外の路線を対策の対象と」.更にこれをバス輸送との経済比較等にり,マルa鉄道輸送の方が経済的な路線,マルbバス輸送に比べて鉄道輸送の方が相対的にコストが高い路線であるが,最混雑時の輸送需要が大きいこと等の理由によりバス輸送に転換することが困難な路線,マルcバス輸送の方が適切な路線に三区分し,マルaとマルbの路線については,運営合理化の徹底,特別運賃の設定等により国鉄路線として維持し,マルcの路線については,原則としてバス輸送に転換するもめとし,国及び国鉄め関係出先,関係地方公共同体等により構成する地方協議会において,バス輸送サービスの整備又は第三セクター,民間事業者等にまる鉄道輸送サービスの整備のいずれかを転換後の措置として選択し,具体的な移行措置をとりまとめ,その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしており,各地域の実情や公共輸送サービスの確保にも十分配慮した内容となっている。
  運輸省としても,この報告の趣旨に沿って各地域ごとに,その地域の実情に最も適した公共サービスは何か,ということを十分に考え,地元の足の確保にも十分配慮しながら所要の措置を検討していくこととしている。

(3) 行財政上の措置

  53年度においては,政府は国鉄に対し工事費補助金,地方交通線特別交付金,大都市交通施設整備費補助金等総額で5,376億円(前年度比21.9%増)の助成を行ったが,54年度は,これに整備新幹線建設調査費補助金と磁気浮上方式鉄道技術開発費補助金を新規項目として追加し,総額で6,181億円(前年度比14.5%増)の助成を行うこととしている 〔1−5−27表〕

  今後の国鉄助成については,現行の助成内容については見直しを行い,いわゆる構造的問題に対する助成を中心として,その再編成を行うこととするとともに,再建期間中の助成額の増加については極力抑制することとする。
  行政上の措置としては,54年6月国鉄経営改善に関する情報交換及び協調関係の増進を図るため,中央(運輸省)と地方(陸運局の所在地ごと)に鉄道・道路連絡懇談会を設定した。構成は,中央は運輸省,建設省及び国鉄の関係者であり,地方は陸運局長,地方建設局長,鉄道管理局長及び関係都道府県副知事である。
  今後,同懇談会は,鉄道と並行する道路に関する情報の収集,把握に努めるとともに,道路管理者に対して国鉄経営改善計画等に関する情報を提供していくこととしている。


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