3 我が国経済におけるエネルギー需給の動向
我が国のエネルギー消費量は,石油換算で387百万トン(昭和52年度)であり 〔2−1−10図〕,エネルギー供給における石油の占める割合は,我が国一次エネルギーの74.6%である(52年度石炭14.8%,水力4.8%,原子力20%,その他3.8%,「総合エネルギー統計」)。石油はガソリン,軽油,重油等の石油製品として直接使用されるほかに,電力,都市ガス等としても間接的に使用され,電力の発電量の約63.8%は石油に依存している。我が国の種類別エネルギ}最終需要構造を部門別にみると 〔2−1−11図〕,一次エネルギーの選択可能性のある電力においては,鉱工業部門,民生部門の割合が高いのにくらべて,ガソリン.,軽油といった直接消費される石油製品において運輸部門の割合が高いことがわかる(運輸部門でガソリンは99%を,軽油は64%を消費している。)。
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昭和54年6月に東京で開催された主要国首脳会議においては,我が国の60年の輸入石油の目標につき「1日当り630万バーレルから690万バーレル(年間約3.65億Kl〜4.0億Klに相当する。)の間の範囲を超えない水準を採用する。日本は,この目標を定期的に検討し,かつ,時々の進展及び成長見通しに照らしてこれを一層明確なものとし,またより低い数値に近づくために,節約,利用の合理化及び代替エネルギー源の熱心な開発を通じて,石油輸入を削減するよう最善を尽くす」ことが合意されており,新経済社会7カ年計画においても,60年度におけるエネルギー需給は,原油換算で5..85〜60億Klと見通しが立てられ,石油輸入量(輸入LPGを含む。)は,3.65〜4.0億Klと見通しが立てられた(経済企画庁試算値)。また,54年8月には,総合エネルギー調査会(通商産業大臣の諮問機関)需給部会において「長期エネルギー需給暫定見通し」の中間報告がなされた 〔2−1−12表〕が,同報告によれば,経済成長率を52年度〜60年度年率6%弱,60年度〜65年度年率5%程度,65年度〜70年度年率4%程度とし,省エネルギー率を60年度には12%程度,65年度には15%程度,70年度には17%程度(いずれも48年度基準)とした場合におけるエネルギーの需要は,石油換算で,60年度には5億8,000万Kl程度,65年度には7億i程度,70年度には8億1,000万Kl程度になるものとしている。
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これらの見通しはいずれも我が国の石油輸入について石油危機前のぺースでの量的拡大ができないとしており,長期的にみた場合には,輸入量の増加がほとんど期待できなくなる事態も考えられ,我が国経済におけるエネルギー需給情勢は今後ますます厳しくなることが予想される。
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