1 主要国の運輸部門におけるエネルギー消費構造1960年代のエネルギー消費をOECD統計により部門別にみると,OECD諸国全体では住宅冷暖房及び各種電気機器の普及による需要を中心とした民生部門の次に運輸部門の伸びが高く,これは乗用車利用の増大と鉄道から航空へのシフトによるものと言われている。 一方,国民1人当りの運輸部門のエネルギー消費量をみると,日本はイタリアと並んで消費量が少なく,西ドイツ,イギリス,フランスの約2/3の水準である。アメリカは,国土面積,経済規模の違い等から単純比較はできないが,国民1人当りの運輸部門の消費量は日本の約5倍となっている 〔2−1−13図〕。
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次に自動車1台当りの燃料消費量をみると 〔2−1−14図〕,アメリカが特に高く我が国の2倍以上の燃料を消費していることがわかる。
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〔2−1−15図〕は主要国におげる国内の輸送機関別旅客及び貨物輸送量とエネルギー消費量の割合をみたものである。旅客輸送における鉄道のシェアは,我が国が第1位であり,西ドイツが続いている。アメリカは,圧倒的な自動車交通社会であり,航空輸送も11%を占めている。
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貨物輸送は,旅客輸送とは逆に,鉄道輸送のウエイトはアメリカが最も高く,日本はイギリス,フランス,西ドイツと比較しても低位にある。一方,船舶輸送は我が国が最も高く,過半を占めている。これに対してエネルギー消費量は,自動車の占める割合が総じて輸送割合より高く,主要国共通して自動車の省エネルギー問題が叫ばれている事情がここに表われている。
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