2 我が国における輸送機関のエネルギー消費動向
我が国運輸部門における国内エネルギー最終需要の推移をみると,30年度には約37%を占めていた石炭が,50年度には統計から姿を消している 〔2−1−16図〕。国鉄における動力近代化は石炭から石油(電力を含む)への転換の歴史であり 〔2−1−17図〕,モータリゼーションの進展とともに我が国の輸送機関の石油依存率を極めて高いものにしてきた。輸送機関別のエネルギー消費量の推移をみると 〔2−1−18図〕,自動車のエネルギー消費量が52年度には,35年度の約9倍と全体の伸び率5倍をはるかに上回る伸びを示し,そのシェアも36%から64%へと増加している。これに対して鉄道のエネルギー消費量は減少しており,そのシニアも32%から6%へと減少している。航空機(国内)のエネルギー消費量は,近年の輸送需要の急増を反映して1%(40年度)から2.5%(52年度)へとシェアを拡大し,ジェット燃料油の絶対量も285千Kl(40年度)から1,880千Kl(52年度)へと約6.6倍になったもののその消費量の絶対量は低い水準にある。海運(国内)の重油消費量の絶対量は1,196千Kl(35年度)から6,883千Kl(52年度)へと著しく増大しているものの,そのシェアは,9.5%から10.5%へとやや増加した程度である。
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次に,輸送機関のなかで最も多くエネルギーを消費する自動車につき,その車種別構成の動向をみてみる。 〔2−1−19図〕は燃料別に自動車の保有台数の推移をみたものであるが,圧倒的にガソリン自動車の台数が多く,次にディーゼルトラックとなっている。ディーゼル乗用車については,44年度以降減少傾向にあったものの,51年度から急増しはじめ,最近増加率は低下しつつあるものの,53年度には10万台を超えることとなった。軽油を燃料とするディーゼルエンジンは,ガソリンエンジンに比べエネルギー効率が一般的に高く,その増加動向が注目されるところである。
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乗用車の排気量別販売台数の推移をみると,軽自動車を含めた1,000cc以下の販売台数が減少,1,500tを超える自動車が増加しており,乗用車は大型化の傾向にある 〔2−1−20図〕。ガソリン乗用車の10モード燃費により比較すると,大型になればエネルギー効率は低下する(例えば,排気量2,000ccクラスのガソリン乗用車は,1,200ccクラスのガソリン乗用車に比べ,燃料を約50%多く消費する。)から,乗用車の大型化は省エネルギーの観点からは好ましくない動向と言える。
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営業用自動車の燃料消費状況についてみると,道路旅客運送業の消費する燃料油については,乗合バス事業,貸切バス事業ともにその使用油種はほぼ100%軽油である。ハイヤー・タクシーについては30年代以降ガソリンからLPガスへと切り替えられてきており,53年度末のハイヤー・タクシーに占めるLPG車の割合は92.3%となっている 〔2−1−21表〕。
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道路貨物運送業に使われる自動車は約95%が軽油を燃料とするディーゼル車であり,この割合は年々高くなってきている 〔2−1−22表〕。
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海運業(国内)に使用される燃料油は重油が大半であり,52年度の重油消費量は約688万Klであった。海運業(国内)に使用される重油の種類はA重油39%,B重油35%,C重油26%となっている。
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