2 石油パイプライン輸送の活用


  石油パイプラインは陸上,海上を問わず,交通の輻輳,渋滞等に影響されることなく大量の石油を連続的,安定的に輸送することができる優れた輸送手段であり,また,輸送容器の移動に伴う事故がなく,厳格な技術基準が定められているので安全性が高く,都市防災に寄与するところが大きく,欧米諸国では, 〔2−3−7表〕のとおり活用されている。

  一方,我が国の石油パイプラインをとりまく情勢は極めて厳しいものと言わざるを得ない。我が国において石油パイプラインの導入が遅れている原因は,その必要性と安全性が国民一般に浸透しておらず,また,パイプラインの建設には膨大な資金が必要であること等にあると考えられる。
  石油パイプライン事業法が適用される最初の事業となる新東京国際空港航空燃料パイプラインについては,同法に基づく基本計画が定められ(53年9月12日告示),安全性その他の事項に関する同法の規制のもとに整備が進められているところである。
  現在,新東京国際空港において給油される航空燃料は,暫定的に,鹿島港及び京葉工業地帯から成田市土屋の石油ターミナルまで鉄道貨車により輸送され同ターミナルから延長約7.8キロメートルの暫定パイプラインにより空港まで輸送されている。この暫定輸送は貨車輸送に依存するものであるのでその輸送能力に制約がある。
  このため,大量の輸送能力を有する本格パイプラインの一日も早い完成が望まれている。


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