2 自動車騒音


  46年5月騒音に係る環境基準が閣議決定され,各種の騒音に対する防止対策が関係省庁等により推進されている。自動車騒音対策については,発生源である車両の騒音低減対策として,道路運送車両の保安基準に基づく規制が行われている。

(1) 規制の経緯

  26年道路運送車両の保安基準が制定され,定常走行騒音及び排気騒音の規制が開始された。その後,モータリゼーションの進展に伴い,自動車騒音は次第に社会問題化し,また通常自動車の発生する最大の騒音は加速状態で起こり,これを規制すべきであるという考え方が世界的になった。このため,46年4月新車について新たに加速走行騒音規制を実施するとともに,定常走行騒音,排気騒音についても規制強化を行った。さらに,50年9月大型自動車及び2輪車等に重点をおく加速走行騒音の規制を強化し,51年1月から実施している 〔I−(II)−26表〕

(2) 規制の現状(54年規制)

  51年6月中央公害対策審議会は自動車騒音の長期的低減方策に係る答申を行った。同答申においては,加速走行騒音について二段階に分けて規制強化を行うのが適当であるとされ,各々の目標値が示された。これに対応して,53年1月自動車騒音の許容限度が改正されたのに伴い,同年2月道路運送車両の保安基準の改正を行い,54年1月から第一段階の規制を実施している。この改正は,新車の加速走行騒音を1〜5ホン低減させるものであり,道路交通騒音に対する寄与度の大きい大型車等に重点がおかれている 〔I−(II)−29表〕

  現在,順次54年規制適合車に切替わりつつあるが,騒音低減対策としては大型車におけるエンジンルームの本格的しゃ閉を始めとして,吸排気系の改善,二重化等による剛性増大,機械振動系の補強等が行われている。

(3) 今後の規制の強化

  前記答申においては,第二段階は各車種一律にさらに3ホン低減することとされているが,技術的には未解決な問題も多い。しかし,道路交通騒音の一層の低減を図るため,関係省庁との緊密な連絡のもとに技術開発の促進を図り,できるだけ早期に第二段階規制を実施することとしている。
  なお,使用過程車における整備不良あるいは不当な改造に起因する騒音の増大を防止するため,今後とも自動車使用者に対する指導に努めていくこととしている。

(4) 試験研究

  自動車騒音防止対策に必要な技術評価に関する試験研究については,交通安全公害研究所において,実施しており,現在自動車騒音の音響出力と交通流騒音との関連に関する研究,実走行状態と等価な単純走行モデルによる自動車騒音の測定法に関する研究等行政に密接なつながりを持ったものを行っている。


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