4 離島航路の現状


  本土と離島または離島相互間を結ぶ離島航路は,いわゆる陸の孤島と呼ばれる船舶交通にしか頼れない僻地の住民の足となっている準離島航路を含め,54年4月1日現在で446航路である 〔II−(I)−22図〕。これらの離島航路は,離島の過疎化現象が進むなかにあって一部の観光資源に恵まれた航路を除いては,主として離島住民及び生活物資を輸送の対象としているため輸送需要は概ね低迷を続けている。他方,人件費をはじめとする諸経費の上昇は避けられず,合理化の余地も極めて乏しいところから,事業者の経営努力にもかかわらず,赤字経営を余儀なくされているものが多い。

  このため,赤字航路のうち離島住民の生活にとって必要不可欠なものであり,かつ,一定の要件を備えたものについては,国において補助航路とし指定し,原則として国はその欠損額の75%相当額を,また,地方公共団体は25%相当額をそれぞれ補助金として交付することとしている。53年度においては,111事業者,121航路に20億8,052万円の補助金が交付され,54年度については,117事業者,124航路に対し前年度比5.1%増の26億1,193万円の予算が計上されている。
  なお,補助金交付航路の収支状況をみると 〔II−(I)−23表〕のとおりであり,53年度は,前年度と比較すると補助金交付航路が5航路増加したこともあって欠損額は52年度の27億2,535万円から53年度には27億7,918万円へと若干増加したが,収支率は運賃改定による増収等により,52年度の67.1%から53年度69.7%へとやや好転している。53年度の収支率は,収支相償う水準には程遠いものの,最近5か年間の実績と比較すると高いものである。
  また,離島航路に就航する船舶を船舶整備公団との共有方式により建造する際には,公団の共有比率が一般旅客船が70%であるのに対し,離島航路に就航する船舶は80%と高くなっている。


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