1 経営状況


(1) 概説

  我が国の造船事業者数は,約1,400社であり,これらの企業による昭和53年度の造船部門の売上高(新造船,修繕船)は,前年度に比べ36%減の1兆7,000億円であった。

(2) 財務状況

  主要造船業10社の損益状況は, 〔II−(IV)−4表〕のとおりである。53年度の総売上高は,前年度に比べ13.2%減の3兆3,207億円であり,このうち新造船及び修繕船売上高は,同45.0%減の7,738億円であった。一方,総原価は,同8.8%減の3兆3,302億円であったため,95億円の営業損失,391億円の経常損失となった。

  また,主要造船業10社の財務状況は, 〔II−(IV)−5表〕のとおりである。53年度の総資産は6兆2,519億円で前年度に比べ4.0%減である。このうち,流動資産は4兆8,482億円,対前年度比4.6%減であり,固定資産,繰延資産は1兆4,037億円,同2.1%減となっている。流動資産の内訳では,売上高の減少を反映して受取手形が6.2%,売掛金が12.6%それぞれ減少した。また,固定資産のうち有形固定資産は,設備投資の減退に伴い51年度,52年度に引き続き減少し53年度は,対前年度比3.1%の減少となっている。一方,負債についても同様の傾向が見られ,流動負債は3兆6,395億円,対前年度比4.4%減であり,固定負債は2兆292億円,同0.9%減となっている。流動負債の中では,前受金が51年度,52年度に引き続き減少し,53年度は,対前年度比11.8%減となっている。また,固定負債の中では,長期借入金が減少(対前年度比6.5%減)した反面,社債が増加(同29.1%増)している。
  次に,53年度の資産及び負債・資本の各項目の構成比をみると,資産の77.6%を流動資産が占め,残り22.4%が固定資産,繰延資産であり,このうち有形固定資産が資産全体の12.7%となっている。
  一方,負債・資本については,流動負債が58.2%,固定負債が32.5%(うち長期借入金は22.4%),資本が8.8%となっている。


表紙へ戻る 次へ進む