6 油濁損害補償対策
タンカーの事故による油濁損害については,その損害額が他の事故に比べて巨額にのぼることから,「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(1969年)」(以下「民事責任条約」という。)及びこれを補足した「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(1971年)」(以下「国際基金条約」という。)の一条約を国内法化した「油濁損害賠償保障法」が昭和51年9月1日より施行されている。国際基金条約については,1978年3月フランス沿岸沖で発生した大型タンカーアモコ・カディス号の油濁事故を契機とするフランスの加入等により,同年10月16日に発効した。これにより,石油会社その他の海上輸送された油の受取人の拠出金をもとに設立された国際基金が79年2月13日よりその活動を開始することとなった。この結果民事責任条約では十分な補償を受けられない油濁被害者等に対し,国際基金による追加的補償等がなされることになり,被害者の一層の救済,保護が図られることとなった。
一方,IMCO法律委員会においては,これら二条約に関し,補償限度額等についての見直しが行われることとなっており,我が国においても,これに対応した作業を進めているところである。
また,原因者が不明の漁場油濁被害については,昭和50年3月に設立された(財)漁場漁濁被害救済基金が引き続き救済対策を行っている。
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