3 空港周辺対策
発生源対策あるいは空港構造の改良を実施しても,なお騒音の影響が及ぶ地域については,「航空機騒音防止沫」に基づき,空港周辺対策を行っている。
航空機騒音防止法に基づく対策が実施される特定飛行場としては,東京国際,大阪国際,福岡,鹿児島,函館,仙台,松山,宮崎,新潟,大分,熊本,那覇,高知,広島,名古屋及び新東京国際空港の16空港がある(名古屋は54年5月指定)。これらの特定飛行場においては,次のような各種の空港周辺対策事業を行っている。
特定飛行場のうち周辺地域が市街化されており計画的整備を促進する必要があると認められる大阪国際空港及び福岡空港については,周辺整備空港に指定し,関係都道府県知事が策定する空港周辺整備計画に基づき,国と地元地方自治体の共同出資で設立された空港周辺整備機構が固有事業として再開発事業,代替地造成事業等を行っている。このほか,両機構では空港周辺対策を統一的に扱えるよう,国からの受託事業として移転補償,緩衝緑地造成事業,その他の事業として民家防音工事助成を実施している。大阪国際空港周辺整備機構及び福岡空港周辺整備機構の予算は, 〔III−19表〕, 〔III−20表〕のとおりである。
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このほか,大阪国際空港については,大気汚染測定センターの設置,騒音測定塔の増設,地元地方公共団体による空港周辺地域営業者融資制度の創設,移転者のための低利融資制度等の創設のほか,同空港周辺の「新しい街づくり」を促進するなど種々の航空機騒音対策の強化が図られている。「新しい街づくり」については,航空機騒音防止法に基づき府県知事の策定した大阪国際空港周辺整備計画を基礎としつつ,関係住民の意向をも反映した具体的な地区整備計画を策定するべく,52年7月,国,関係府県,関係市,空港周辺整備機構及び学識経験者より構成される「大阪国際空港周辺整備計画調査委員会」が設置され,数次にわたる検討を重ねたうえで,同年12月,関係地区における住民説明が行われ,現在住民意見の集約が図られている。これと併行して,地区整備計画を実現していくための手法について基本的検討を行うこととしている。なお,53年度よりこうした手法の一つとして,関係地方公共団体が移転跡地等を利用して公園・広場等の周辺環境基盤施設を整備する場合にその費用の一部を補助する制度が発足し,53年度1.7億円の補助を行った。54年度は補助対象施設として防災目的の細街路を新たに追加し,2.6億円の補助を行うこととしている。
以上に述べた航空機騒音防止法に基づく対策のほか,(財)航空公害防止協会に補助を行い,テレビ受信障害対策を進めている。補助対象区域は54年現在,東京国際,大阪国際,福岡,宮崎,鹿児島,那覇及び名古屋の各空港の周辺地域である。
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